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急募、ドMという誤解を解く方法 1

 急募、ドMという誤解を解く方法。    雄大が寝ている間に俺は対策を考えた。まずは雄大に俺の話を聞いてもらう。話はそれからだ。雄大は頭っから俺が淫乱のビッチで雄大とのエッチに満足できなくなったから男を引っかけて乱交したと思っている。    だが、待ってほしい。    俺に対していい感情を持っていないような雄大の親衛隊や生徒会役員たちを果たして欲求不満だとはいえ誘ったりするだろうか。普通に考えてないだろ。エッチは相性はもとより信頼関係が大事だと思う。    親衛隊や生徒会役員たちは雄大の信者だ。  雄大を天使であり神であり絶対のモノだと思って崇めている。  俺の雄大はちゃんと人間でわりと間抜けだ。  ビックリすると記憶が飛んだりするし、忘れ物の名人だし大らかというか大雑把な奴だ。ウチの母親によく似ている。雄大の父親にも似ているけれど、あの人は根っからのお人好しだ。雄大は少し排他的なところがある。そして、この学園のせいで雄大の二面性が激しくなった。    そして多分、クール雄大崇拝派には俺に泣きついたり俺に世話を焼かれたり俺に微笑んでいる雄大が気に入らない。雄大は孤高の王様のように無表情か仏頂面で自分以外を愚民と見下すような人間でいて欲しがっている。そんな雄大イヤだ。    雄大は食後のデザートがとろける系なやわらかプリンであるだけで上機嫌な奴なんだ。いつまで経ってもかわいい奴なんだ。悪の皇帝みたいな学園の生徒のイメージがおかしい。    いや、初等部の天使時代を知っている奴らは俺に優しく微笑みかける雄大の虜だ。ただ笑いかけているのが俺というのがムカつくらしい。    冷静に考えると雄大の人気が高くなればなるほどだけ俺の嫌われっぷりは高かったのだからもっと対策を講じるべきだった。後悔先に立たずだ。   「俺が哉太のこと叩いたりできないから、哉太は俺よりアイツらをとったのか?」    目覚めた雄大は俺が近くにいないことに半狂乱になった。そして、また生徒会役員たちや親衛隊と乱交しているという不名誉な疑いをかけられた。目を離したらすぐに淫行にふけるビッチの烙印を押されたままの俺だが明日も元気に生きていきたい。   「この爪、わざわざ剥がしてって頼んだんだろ。……哉太(かなた)の爪好きだったのに」    俺の指先にキスする雄大。見た目が王子様のような仕草でちょっと感動する。雄大の言い分自体はまあまあ嬉しいけれど問題は俺の意思を理解していないところ。    俺が爪をはがしてくれなんていうことを頼むはずがない。  どんだけ日常生活を捨てる気のマゾ野郎だ。  指先には神経が集中しているから何をしていても指が痛いんだぞ。  痛みで昨日は寝てないし。    だが、ここで雄大にそれを言っても爪をはがされた痛みで「ひぎぃぃ」とか言いながら射精したり爪をはがされたことに対して「嬉しい?」と聞かれて「ありがとうございます」とか返している地獄の動画を再生されたりするんだろう。  雄大が俺をビッチだと思うようにマゾだと思い込んでいるのは間違いなく録画された俺自身が「みなさんのマゾ奴隷としてかわいがってくだひゃい」とかほざいているせいだ。  本心なわけもないけど、クスリでラリラリな蕩けた顔は快楽の恍惚となっているように見えるかもしれない。呂律が回っていないのもイキまくりなのもクスリじゃなくて、俺が淫乱ビッチドMだからということなのだ。    雄大は頭から信じきっている。  それはレイプ犯たちの穴があるように見えて精神的に破壊力のあるのでインパクトで納得させられてしまう。  ハチャメチャに見えてそれなりに考えている計画だ。  思い付きであれやこれをしたにしては雄大へのアプローチの仕方がうまい。  俺が強姦のショックで泣いている時に雄大がやって来て責めてきて破局とか、俺に愛想をつかした雄大が離れていくとかそういったことを考えていたに違いない。  そうじゃなければこんな気持ちが悪い行動はとれない。    平凡とかブサイクとか平凡とか言ってた男にチンコ突っ込んでるんじゃねえって話だ。  お前らはバカにしていた平凡のケツでイッてんじゃねえか。この粗チンどもが。  雄大の中の俺が淫らに男を誘う雌猫になっているのを知れば知るほど怒りが湧き上がってくる。  俺はどこからどう見ても変態どもの変態思想の被害者だ。  嫌いな奴に何をしてもいいなんてルールはないし犯罪は犯罪。    俺は泣き寝入りをするつもりはない。

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