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急募、ドMという誤解を解く方法 3

 とりあえず雄大にカウンターを決めたことで俺のマゾ疑惑は少しだけ晴れたらしい。  あくまでも少しだけ。完全に誤解が解けたわけじゃない。   「精神的に痛めつけられるのが好きなのか? ゴミのように扱われたりとかしたかったのか? なぁ、哉太(かなた)」    あわわとゆるふわ女子もビックリの可愛さを見せる雄大。美形にもかかわらず俺の前で雄大は結構顔を崩す。焦っている雄大はかわいいが今は和んでいる場面じゃない。   「なんでそんなに痛いのが好きなんだ」    そんなわけないだろというツッコミを口にする前に咳払いして「俺は哉太をそんな風に扱いたくない。哉太を愛しているから大切にしたい」と雄大は真面目な顔をして言ってくる。俺への愛百パーセントの発言だ。    格好いいキリッとした顔で写メを撮りたくなるが方向性がズレている。まずは俺がビッチでもマゾでもないところから話を始めよう。俺は被害者だから。輪姦大好きっ子じゃないから。勘違いしないで!   「副会長が生徒会役員たちや親衛隊に取るような態度が哉太の望みだって……」    なるほど俺に勝手なマゾ属性を付与したのはそういう魂胆だったのか。納得がいった。  俺は雄大にとって特別だという自負がある。それが壊れればレイプされまくった被害よりも精神にくる。  雄大は俺を好きだし馬鹿正直だから俺のために嫌わないといけないかもしれないけど出来なくてどうしようとか言い出して奴らの計画は潰れている。  奴らの計画は二段や三段構えだった。  ただその全てを俺と雄大は無自覚のままにぶち壊していた。    ここまでされたら離れると思うだろう。  誰だってそれを選ぶ。それが一番楽だからだ。    自分が雄大に相応しくないとか、雄大と居なければこんなことにならなかったとか、傷をえぐられてつらいとか俺だって思わないわけじゃない。  話が通じない状態の雄大に一旦は離れてお互い冷静になろうと提案してみたり。    するんだろうね、普通はさ。  俺もそうするのが正しい気がした。  きっと一人でふさぎ込んで考えていたらそういった結論を出していた。    原因をどこかに求めないと精神が落ち着かない。  こんなことが起こったのは自分が悪いから、雄大が悪いから、運が悪いから。  違う。悪いのは俺じゃないし雄大でもない。運は悪かったけれどそれ以前に犯罪者が学園内にいるのが問題だ。  罪は犯す人間が悪い。  防犯するに越したことはないけれど圧倒的に犯罪者が何より悪い。  悪意を持って人に接しているんだから悪人以外の何者でもない。    俺と雄大は生まれた時から一緒で傍にいることが普通だ。  離れるなんて考えられない。  生まれて初めてぐらいにダメージを受けているけれどそれでも離れようとは思っていない。  俺は精神的にも肉体的にも大ダメージ。雄大はしばらく使い物にならない精神的ダメージを食らってる。  それでも離れるという選択肢を否定している。  お互いのことはお互いが一番知っている。そのことに誇りすら持って俺たちは隣に立っていた。  だからこそ雄大は信じられない現実を前に混乱の中で泣いて喚いて寝てまた泣いたりとおかしくなっている。  五月雨雄大の中にある金宮哉太が思っていたものと違いすぎていて現実をきちんと認識できない。  話を聞いている、考えていると言いながら雄大は「俺の全てを受け入れる」ということで思考停止をしている。  俺の訂正を言い訳と切って捨てて話を聞かないのは自分が受け入れるという姿勢を見せたことを否定されていると感じるからだ。

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