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情報整理と行動の方向性 4

 金曜日、プレゼントを選ぶのは通販でいいとか学園の外に出なくたっていいと口にする雄大を振り切って俺は先輩と買い物をしてご飯を奢ってもらっていた。  天候によっては交通事情から帰れなくなるので、泊りになるかもしれないと空を見ながら思っていた。    両親四人が揃って結婚式を挙げた結婚記念日は雄大の母親の誕生日でもある。  雄大からすると自分の母親に贈る買い物よりも自分と一緒に過ごして欲しかったのかもしれない。  甘やかしている俺のせいもあるかもしれないが基本、雄大は自己中心的だ。  見た目のせいかそれが許されもする。    俺は雄大の母親を自分の母親と同じぐらいに慕っているし世話になっているので恩返しとしてそれなりに考えたものを渡したい。当日に手渡しすることが出来ないからこそ悩みたいという気持ちがある。    親孝行をしたい気持ちと同じぐらい学園から離れることでストレスから解放されたい欲求もあった。  向けられる悪意は見ないふりをしても心の中に重石のようにたまる。  このことを雄大に伝えたらほぼ間違いなく転校騒ぎか俺に悪意を向ける人間の排除に走る。  それは正しくないと思ったし排除するにはその人数が多すぎて現実的じゃない。  学園の中で俺に悪意を持たない人間がいなかった。  いや、明確に嫌っているのはごく一部の声の大きい人間で大体はどうでもいいと思ってるかもしれない。  でも耳をすませば悪感情は伝わってくる。  だから、目を閉じて耳を塞ぐに限る。  そうした結果が警戒心の低下だったとしても、なるようにしてなったと思うべきかもしれない。      嫌っていい人間、悪口を言っていい人間。  学園の中で俺はそういう扱いをされていた。  そういう空気が出来ていた。    俺個人の人格や言動がどうなのかはもはや関係がない。  俺の行動全部に難癖をつけたがっている。  それらは雄大の耳に入らないよう、分からないように行われる。  もちろん俺の様子から批難中傷や嫌がらせを受けているのはバレているので、雄大は周囲を嫌っている。雄大に好かれたいから俺を大切にするという考えにならないあたり残念だ。  好きな相手の大切なものを否定することから始める愛は一方的過ぎる。    ただ多少は学習したのか高校で真正面から罵倒を受けたり取り囲まれたりしたことはない。    そんな人間たちを無視し続けるのは当たり前のことだし、学園の空気から離れたいと思うのも不思議じゃない。  早く弱音を吐いて、つらいと訴えても良かったと犯されながらに思ったけれど遅すぎた。  取り返しがつかなくなってからじゃないと悔やむことが出来ない。

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