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情報整理と行動の方向性 5
中学は雄大に殴られ隊が結成されてわざと俺にケンカを売ってくる人間もいた。
けれどそういう相手は親衛隊が排除していた。
俺のことを嫌いだと言ってはばからないかわいらしい見た目の先輩だったけれど陰湿的な嫌がらせは一度も受けたことはない。
先輩自身からの陰口もない。
やるなら正々堂々やれと親衛隊の人間に言いながら俺に生卵をぶつけてきて雄大に除隊されそうになっていたけれど、俺が止めた。
ああいった分かりやすくぶつけてくれる人の方が後腐れなくて助かる。それに陰で動かれたりするよりも活動が目に見えて対処しやすい。
金曜の夜に先輩と夕飯を食べて寮に帰ったら焦っている生徒会役員に捕まったのだ。
寮の出入り口は人気 がなかった。
雄大が呼んでいるというので着いていったのは軽率だったかもしれない。
勢いに飲まれたといっても雄大以外を理由に声をかけられるはずがない。
そういう先入観があった。
生徒会役員が俺を疎んじているのは考えなくても分かるぐらいに明確。
用もないのでお互いに近づかないでいた。
きらいだから嫌がらせをするのではなく、きらいだから見ないようにする、それが彼らの対処法。親衛隊とは違うのだ。親衛隊は隙あらば俺の評判を落として退学しろと囁き合う。
だからいくら雄大が理由だとしても生徒会役員と親衛隊が手を結ぶのは少し不自然だ。
誰かが指揮を執っていたとしか思えない。
そして、その黒幕ともいえる存在が俺がこれから行動する上で一番重要なことだ。
誰かが指揮を執って生徒会役員と親衛隊を動かしていたのなら単純に傷害事件として警察に届ければいいというわけじゃない。計画に穴がありそうなのはその穴こそが思考誘導。問題点を発見させて、さも自分が考え付いたと思い込ませる気だ。
冷静じゃない俺だったらきっとハマりこんでいた。証拠は十二分にある。一気に奴らに絶望をプレゼントしようと動けば逆に黒幕の操り人形になる。俺に必要なのは公的な裁きじゃない。望んでいるのは正義じゃない。もう正論は必要ない。
これからの俺の行動が独りよがりでやり過ぎだったりあるいは無意味だったとしても自分の心の整理の為にも動かないとやっていられない。
両親の助けを求めて解決してしまったら今後ずっと今回のことに囚われてしまう。
そんな人生ごめんだ。
俺に必要なのは「お前の思い通りになるわけねえだろ、残念だったな」と言い放つ強がり。空元気だとしても走り続けないと立ち上がれなくなってしまう。
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