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まずは行動 6
俺の隣の席の雛軋 。
手に持っているパンは一人分ではないだろう。とことこ、と擬音が付きそうな足取りで向かう先には生徒会役員の双子。
百八十センチある一卵性の双子はそれぞれ運動部員。
威圧感のある見た目に雛軋が逆らえるわけがない。
パシリをさせられてかわいそうという感情は浮かばない。
双子は元より雛軋は俺を犯してきた相手だ。
俺のことを好きだというのを理由に連れて来られたらしい。
自分たちがやりたくないことをやらせる下僕が必要だったのだろう。
泣いて俺に謝りながら尻を舐めて穴を解し一番初めに俺に突っ込んで中に出した。
わんわんメモには「雛ぴよではなく怪鳥。純粋さは魔物である」とあった。
あの日、生徒会役員に着いていった先に雛軋がいてリンチ状態だった。それを見て驚いている間に拘束され、服を脱がされた。
計画的な犯行だと思ってしまうのは俺の身体の傷だ。
爪をはがされた以外の傷がない。
言うことを聞けと殴られてはいない。
反抗的だと爪をはがされたり、爪のあたりに力をかけられる。
それだけで俺は絶叫して言われるままに何でもした。
それが苦痛から解放される手段だと思ったからだ。
そして、編集されている映像を見れば暴力によって従えたわけではなく合意の上でのプレイだったと主張できる。
雛軋はそんな俺を見てやめてと泣き叫んだり、ごめんと謝った。
けれど凌辱が終わり身体に力の入らない中の虚ろな意識の中で俺は見た。
白濁液まみれの俺の身体を綺麗にしながら雛軋は確かに笑っていた。
それがなければ俺も雛軋を疑ったりしないだろう。わんわんメモだって読み流した。
けれど、どうしても引っかかる。
あの場に無関係であるはずの雛軋がいたこと。
使い勝手がいい雑用。自分に逆らわない弱者。そういう存在であるのは分かる。
だが、わんわんがくれた学力推移を見ると雛軋は決して低い知能を持っているわけではない。
おどおどしているその仕草もクラスの中では守るべき存在としての地位を得ていて馴染んでいる。
俺を好きだということも含めて演技なのではないのか、という疑惑。
雛軋とは今日中に接触するつもりだけど双子と一緒なのはマズい。
体格差を考えるとまず間違いなく抑え込まれてしまう。
痛みがないとはいえ怪我をした事実は消えない。俺の爪は剥がれたままだ。完治するまで手を使うべきじゃないだろう。
雄大のように足技を鍛えればよかった。
自分が雄大に比べて短足に感じてしまう間合いがイヤだったから習わなかった。
後悔は今更だけれどやっておけばよかったというのは今回の件の最中も終わった今も何度となくしている。
日曜だけ開くレストラン。そちらに向かおうと雛軋 と双子から視線をそらす。
目が合ったような気がしたのは勘違いだろう。
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