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副会長との対面 2
少し奥まった庭園のベンチに無理やり座らせられると仁王立ちした副会長が「勘違いしないでください」と言い放った。
どこぞのツンデレみたいな言い方なのがムカついて仕方がない。
お前は俺に対してそういう立場じゃないだろ。
美形で親衛隊や生徒たちから美人ともてはやされているけれど中身が腐ってるから評価なんかできるわけない。「違いますから」と照れたみたいに言われてもかわいくなんかないから。なんなの、本当。
「僕は五月雨会長のことを恋愛的に好きなわけじゃありません。でも、五月雨会長が抱いたあなたに興奮したのは事実です」
俺が考えた展開と違う。
てっきり雄大に対する訳の分からない理想を語って俺を敵対視してくると思った。
そうしたら売り言葉に買い言葉の応酬で話を引き出すのが楽だと思っていた。
それが顔を真っ赤にしてるのは照れてるって何。
まさかのマジのツンデレ。
俺のことを本当に意識してるって、何それ。本当、気持ち悪い。
「もう一度機会があればと昨日は眠れない夜を過ごしました」
マジかよ、犯罪者。
ドン引きなんですけれど。
こんなことなら副会長と会わなければ良かった。
別に副会長を探してレストランに行ったわけじゃない。
ついで話し聞いとくかぐらいの気分でここまで最悪な気持ちにさせるなんて相当だよ。
思わずスマホを見れば、ゲーム内のチャットで、どこのお菓子屋さんのフィナンシェが美味しいとか話してる。
それ俺も知ってる店。美味しいから手土産にいつも先輩に渡していたりする。日常の会話に混ざりたいなと思うと少し気分が楽になった。
目の前の副会長を片付けてからあの店はフィナンシェ以外も美味しいって話をしよう、そうしよう。
「僕はこれでもあなたを認めているんです」
何言ってるんだ、コイツ。
「あなたの身体は五月雨会長を魅了するだけの価値があった。
それは認めないわけにいきません。
数時間も猿のように盛ったのは初めてです。
クスリのせいもありますが、あなたの具合は最高でした」
なんなんだこれは、セカンドレイプなのか。
俺の精神を殺しに来たのか、こいつは。
語る相手がいなくて溜め込んでいたものを吐き出すような興奮の仕方をする副会長。内容が内容なだけに素直に「よかったな」とか思えない。
この異様なテンションは知っている。
さっきキシさんがゲーム面白いと語ってきたテンションと同じだ。
欲しいモンスターが出なくて焦らされるけどそれも楽しみ、みたいな。
自分が何をしたのか分かった上で楽しそうに語ってるならいい根性してる。不快すぎる。副会長の性格を見誤っていた。雄大以外のことに関しても非常識なタイプだ。あんなことしたからまともじゃないと思っていたけどここまで異常者だとは思わなかった。
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