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副会長との対面 8
副会長の主観で話を整理するのなら、つまりこういうことになる。
俺への感情は雄大と並んでいる事への妬みというよりも初等部の頃に無視されて、それを今も覚えていないことへの恨み。
ひねくれてはいるけれど理解が及ばないほど異常ではない。「少し面白くない」程度の気持ちだろう。副会長の親衛隊たちはそれを増幅したし雄大の親衛隊はそのことを利用していた。
副会長が俺を嫌いということが大義名分になるのだ。
実際の感情はともかくとして。
アホの子な副会長が俺と親交を深められたら嬉しいなんて思っていることなど誰も考えちゃいない。
そして、俺も雄大も知らなかったことだが、学園の中でセックスドラッグのようなものが流行っている。
副会長は媚薬と言っていたが数時間勃起しっぱなしで親衛隊のアナを使ってスッキリするのを隔週で行ってるなんておかしい。
中毒症状はないとか自分で飲んでいるわけじゃないと副会長は口にしているが誰にクスリを盛られたのか考え込まない時点で頭がおかしくなっている。
「セックスは気持ちいいのが正義ですっ。だから、あなたも充実した時間を過ごしたんじゃないですか?」
何が不満なのかと口にする副会長はどう考えても頭がおかしい。
こちらに押し付けてさえ来なければ個性だと思えるけれど無理だろう。
思い切り決めつけられている。
聞く耳を持っていない。
隔週のセックスデーとでもいえるのが土曜日の話。
俺は金曜の夜から土曜の夜までを集団強姦で時間を潰されたわけだが問題は気絶していた時間、メンバーが交代していたタイミング、そういうものが分からない。
部屋の中で一番最初の光景は雛軋 が殴られいじめられている姿だ。
そして、俺が拘束され服を脱がされ雛軋に犯された。その後に爪をはがされたのか、その最中に爪をはがされたのか。
いいや、そもそも爪をはがされたタイミングは重要じゃない。
それを見ていないのが副会長だけなのか、どうなのかが問題だ。
意図的に副会長が真実を誤認させられているように他の人間があの場に参加していても「いつものセックスデー」で俺というゲストがいるだけだと判断していたのかもしれない。
乱交パーティーをしている人間に常識を求めたりはしないけれど副会長を初めとして悪いことをしたつもりがない人間は性質が悪い。
自分が罪を犯している自覚がない分、堂々としていて厄介だ。
雄大が動画を信じこんでしまう下地は彼らの態度のせいもあっただろう。
普通は犯人が被害者の恋人に犯罪の証拠を突きつけたりしない。
副会長にその考えがないなら誰かが誘導したのだろう。
その、セックスデーという異常な習慣もまた恣意的なものを感じる。
俺への行動に罪悪感など持たせないために段階を踏んで導かれているようだ。
副会長が悪い悪くない以前に駒でしかないから責め立てたところで俺の求めるものは手に入らない。
「書記が音声を加工して……雄大に見せた動画も編集したんですか?」
親しくなったと思われても嫌なので敬語を使う。
副会長は俺から声をかけられるだけで嬉しいのか微笑んで「そうです。いつもパソコン関係のことをやっています。なにせ、書記ですから」ときた。
書類製作は書記の仕事らしい。
書記はあの場にいたけれど積極的に俺の強姦に参加していた印象はない。
むしろ、親衛隊なのか小柄な相手とキスをしていた。
恋人がいるならそっちでヤッていろと内心でブチ切れたから覚えている。
わんわんの情報にも書記のデータはない。
一切、書記のデータがないのだ。
それはつまり俺のことを好きでも嫌いでもないということ。
俺のことがどうでもいいにもかかわらずあの場にいたことが理解できなかった。
副会長の発言から考えると「セックスデー」だからなのかもしれないが、本当にそれだけだろうか。
レストランに向かったのは書記に会うためだ。
彼がデータを持っているのかは知らないが俺を好きでも嫌いでもない中立の人間と話そうと思っていた。
客観的に土曜日のことをどう思っているのか聞き出せる気がした。
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