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生徒会役員同士の確執 2
雛軋が双子に絡まれているのは小具の代わりなのか、小具に自分を意識してもらうためなのかは分からない。
ただあの場には書記も双子も小具も雛軋もいた。
そして、俺に酷いことをしないでくれと訴えていたのは雛軋だけだ。謝り続けていたのも雛軋だけ。
小具の印象は同い年なのに童顔で小柄だから俺よりも年下に見えるとかそのぐらい。
俺との関わり合いはない。
書記が小具を恋愛的な意味で好きなのか、幼なじみとしての親愛として心配しているのかは知らない。
そこに興味はない。
問題はあの場にいた人間で書記だけ俺に対して好悪がなかった。
それなのにあの場にいた理由、それは小具じゃないだろうか。
乱交状態になっていたのを利用して小具に触れたかったのではないのか、なんてことが想像できる。
わんわんメモがないから書記の情報がゼロということもあるが、それだけじゃない。
小具が俺を嫌っている人間リストとしてわんわんにピックアップされている。
これがいろいろと考えさせられる。
俺に対する副会長の複雑な気持ちみたいなものはデータに反映されていなかった。
とはいえそれでわんわん情報の信憑性がなくなるわけじゃない。
副会長の本音は俺自身が副会長と直接会話をしなければ引き出せなかったものだ。
外から見れば副会長は雄大至上主義で俺を嫌っているようにしか見えなかった。
嫌味や冷たい視線が構って欲しい気持ちの裏返しだなんて誰も想像できないだろう。
誰かの視界に入りたくて無茶をするのは分からなくもない。
雄大の親衛隊はそんなところがある。
お行儀があまり良くない。
恋愛的なものは小具に向けられているだろう庶務の双子や書記も雄大のことは別口で尊敬や親愛の対象にしていた。
生徒会役員は雄大に抱かれたいとか抱きたいという欲求があるようには見えなかったが間違いなく雄大と肩を並べたい、その資格があるのは自分たちだと考えている。だから、雄大に一番近い俺が嫌われる。
そして、小具はわんわんメモによると「テディベアとは名ばかりの全力狩人。釣った魚には餌はやらぬ。その上、他人の魚も自分のもの」と書かれていた。
副会長の話からすると双子の遊びに翻弄されたかわいそうな小具というイメージを持つがわんわんメモを合わせると双子も書記も手玉に取っている感じだ。
餌をやらない釣った魚が双子なら他人の魚は雄大じゃないだろうか。
俺以外のどんな相手に対しても素っ気ない雄大は全力狩人からすると歯ごたえのある相手だ。
今回の騒ぎに便乗しているのか小具こそが発起人なのかはまだ分からない。
ただ書記が鍵を握っているんだろう。
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