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雛軋というヤンデレ 2

 生徒会長である雄大の親衛隊の副隊長は俺に悪意をぶつけることで雄大から「哉太に手を出すな」と言われることを至上の喜びにしている。  親衛隊の大部分はこの副隊長と同じように雄大から睨まれることに感じている変態集団だ。  俺に優しくして「哉太を守ってくれて助かった」とか言われたいと思わないんだろうか。思わないから俺に悪意をぶつけるんだろうけど悲しい。    副隊長はとくに雄大から声をかけられたいという理由で俺を見つけたら体当たりしてくるウザい奴だ。    ちなみに先輩である隊長がいると隊長が過激なことをして副会長がドン引きするのがいつもの流れ。これはこれで人の振り見て我が振り直せというのを体現しているのかもしれない。隊長がいい人とは言わないけれど副隊長に比べるとマシだ。    俺の爪を積極的にはがしてくれたのは会計だったと思うが提案は雄大の副隊長だった気がする。  あいつは俺のことを嫌いすぎだ。  わんわんメモには「手を伸ばせば星をつかめる気になっている子供」とあった。雄大を星に例えているんだろうか。子供という意見には賛成だ。  顔を合わせたところで恨み言や嘲笑しかないだろうなるべく会いたくない。    副会長いわくレストランには書記はいなかったらしい。それなら部屋だろうか。  密室で彼らと会う気はない。  手詰まりを感じていたら何かが突進してきた。    庭園の脇の塀の方というちょっと日陰でじめっとした部分を歩いていた俺に突撃とは何事だ。    相手は雛軋だった。双子といた雛軋がいるとなるとマズい。  副会長を蹴り飛ばした感じ、キシさんのおかげで体調面は問題がなさそうだが体格的に双子に捕まったら逃げられない気がする。   「会長と別れてくれた?」 「何を言ってっ」 「大丈夫だよ。安心してね」    キラキラとした輝く瞳で抱きついたまま俺を見上げてくる雛軋。  パンの袋が下に落ちる。もったいない。   「どんなに汚れたキミだって僕は受け入れるよ。会長がキミを嫌っても僕だけはキミの味方だからね」    笑いながら抱きついてくる雛軋の力は意外に強い。  副会長とは違った意味で話が通じなさそうだ。    みんな俺の話を聞く気がなさ過ぎるだろ。

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