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雛軋というヤンデレ 3

 周りに庶務の双子はいないらしい。  雛軋だけがパンを持ってやって来たとなるとやっぱりさっき俺の姿を見られていたんだろう。  それなら副会長と話している所も監視されていたりするんだろうか。    わんわんからの情報には写真と名前と誕生日身長体重家族構成、学歴、成績、学内での人気、その推移、趣味趣向、性癖、普段の行動時間帯が記されていた。    学内の雛軋の人気は予想通り。学力は意外だった。  そして注目すべきは趣味趣向と性癖と普段の行動時間帯。    考えないようにしたかったが雛軋は俺を好きらしいがそれがあまりにも行動がストーカー的だった。    趣味趣向のところに「金宮哉太の髪の毛を集めって人形を作ること」と書かれていた。  金宮哉太とは俺だ。俺以外に金宮哉太がいて欲しかったがこの学園に俺と同姓同名はいない。  俺の髪の毛を雛軋に抜かれた覚えはない。  髪の毛を梳かしてもらった覚えもない。  それなのに俺の髪の毛を集めて人形を作ることが出来るとはどういうことだ。  しかもそれが趣味レベルになっている意味が分からない。    見なかったことにしておきたかったが頭に頬ずりしたり股間を髪の毛に絡めていた記憶が薄っすらある。  変態は本当に害悪だ。   「雛軋……聞きたいんだけど、お前は何処まで知ってるんだ。たまたま居たってわけじゃないんだろ」    なかば確信していた。  黒幕ではなくても一枚噛んでいる。  目的のために手段を選ばない雛軋。  俺を手に入れるために今回のことを仕組んだのか、雄大を陥れたいから俺を先に罠にハメたのか。   「あぁ、そうだよ。キミが来るっていうから僕は身体ばかり大きなバカ二人に殴られながら待ってたんだ」 「俺が来る?」 「あの双子がキミを犯して遊ぶっていうから、僕は必死で止めていたんだよ? キミの幼なじみの元恋人は何の役にも立たない。僕がいなければキミの綺麗なアナがズタズタにされたし、あんなに気持ちがいい時間を過ごすことは出来なかったんだよ?」    まるで感謝して欲しいといいただけな雛軋に俺はどうしようもなくイラついてきたが反論しないように黙った。  雛軋から見た事件の全容は必要だ。  俺の知らない人間の繋がりが見えてくる。    そして一番重要なのがそこに浮かび上がらないものだ。  

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