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急募、耳を塞ぐ方法 2
筋肉弛緩剤で俺の身動きはとれなくなった。それは雛軋の狙い通りだろうが同時に感度も悪くなったのはデメリット。
雛軋は自分が俺に与えた傷がまだ足りないと思っている。もっと深く傷つければ自分に縋りついてくると信じ込んでいる。だからこそまた繰り返そうとしている。俺の傷に更に塩を塗りこんで治らないように傷口を荒らそうとしている。
それが俺に愛されるためだというから頭がおかしい。馬鹿馬鹿しい思い違いをどうして誰も正さないのか。おかしいと思っているのが俺だけなはずがない。少しでも普通の感性があるのなら雛軋の異常性に気が付くはずだ。
だが、それは無視される。雛軋の行動が自分に都合がいいからだ。
自分に不利益にならないのなら放置する。
むしろ利益になるのなら協力する。
それもまた人間らしいのかもしれない。
庶務の双子からすれば俺の肉体を抱き心地よくしてくれる雛軋のメンテナンスは助かるし、会計からすれば俺が傷つくことはどうでもいい、小具や親衛隊たちからすると雄大から離れていく切っ掛けになってちょうどいい。
雛軋とくっつくかくっつかないか、俺がどう思うのかなんて別にどうだって良かったんだ。
俺を傷つけようとしていたのは雛軋と雄大の親衛隊の副隊長。ねばついた愛情とも言えない執着と行き場のない嫉妬心。小具もまた親衛隊とは方向性が違っても雄大が自分のモノにならないことで俺に嫉妬したのかもしれない。
彼らは彼らの中で今回のことに正当な理由があると思っている。そうじゃなければこんなことはできない。
リスクばかりが高い。それとも本当に馬鹿で何も知らないのだろうか。
俺が誰で、雄大が誰か、分からないほど愚かなんだろうか。
この学園に通う生徒で蔑ろにして将来に禍根が残らない相手などそうそういない。
泣き寝入りの完全犯罪が前提だとしたら笑える。あまりにも幼稚でそれに反して規模が大きい。
「まだクスリが抜けないね」
「ちょっと口塞いで連れてきちゃえばすぐに始められたのになぁ」
俺の頬を撫でる雛軋と不満そうな顔をする会計。
感度の悪い俺を抱く気がないらしい。
彼らのやり口は「これは強姦じゃない、合意だよ」というゲスなもの。
最終的に被害者から求められたのだという映像に言い訳をするには強い心臓と目的意識が必要だ。
彼らはこちらの言葉を殺す方法を知っている。
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