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銃弾の装填 2

 兄弟としてしか見られないと雄大を一度振ったときに俺は雄大の脆さや弱さを見て知っている。それは俺が今まで雄大の兄ぶっていたことの弊害でもある。  依存なんていう言葉でも生ぬるい執着。  雄大が俺に向ける感情は複数のものの重ね掛けだ。  俺のことを兄であり父であり母であり弟であり隣人であり友人であり恋人だと思っている。どれが欠けてもダメだ。    俺のどんな面も雄大は欲しがる。恋人だからと雄大の世話を焼かないのは雄大に不満になるのだ。恋人として格好いいところを見せたいと言いながら俺が雄大の保護者の顔をやめようとすればショックを受ける。捨てられた犬という表現が似合う雄大に俺が勝てるわけがない。    子供の頃からの関係を変えたりマイナスになったりしない。昔の関係に恋人をプラスして今の俺たちがいる。  普通の恋人たちとは違うかもしれないが、これが俺たちだった。     宮田:傷つけた人に傷なんか忘れるぐらいの幸せを与える甲斐性はないの 宮田:生産性のないことで悩んでるのって格好悪くない?  自分に向けた言葉だとチャットに文字が載ってから思った。  俺はきっと雄大を傷つけている。  向き合わなくてもなんとかなるものに向き合わせた。  必要になるとはいえ俺を好きだからこそ雄大にはキツいことを頼んできた。  俺への愛情が強ければ強いほど吐き気がする映像を見るだけではなく整理するように告げたのだ。    誰が何をどうしたのか。    そこから導き出されるものが俺の報復の形。  雄大ならきっと気づくだろう。俺の意図や望みもぜんぶ。   宮田:後悔で終わらないで反省して次に生かした方が前向きで良くない? 宮田:大切な相手に対して「傷つけました、さようなら」で終われるなんて愛がないなw      そう思わないとやっていられないなんて気持ちから上から目線。   知らない相手に対してちょっと大きな発言をしてしまうのは自制が利かないからか、俺の性格が悪かったからか。    なんてことを思っていたら「吸血鬼欲しいって言ってる人の勧めでゲームした?」なんて聞かれた。  キシさんは確かにそんな名前でゲームをプレイしていた気がする。  どうやら鉈好きもキシさんの知り合いらしい。今の会話のどこにキシさん要素があったんだろう。  キシさんを連想させたと思わないので疑問しか浮かばない。     鉈好き:愛してるから宮田は鉈に改名して      その言い分に首をかしげていると「お部屋汚してごめんなさい」と謝られて思わず口から「はぁ!?」と声が出る。  不良が俺を睨みつけているけれど気にしていられない。  雄大を連想してはいたけれど、まさか本当に雄大だとは思っていなかった。  というか、俺が頑張っているのに死ぬとか言ってる場合じゃないだろ。  本当に雄大は雄大だ。甘えん坊天使はどうしようもない。    てっきり朝に誰かが話していたカナブンというNTRされたのが雄大だと思っていた。  時間を考えるとゲームなんかしている暇はなかったんだろう。  俺が雄大だと認識していた相手が天利祢の家の執事だと聞いて呆然とする。  天利祢(あまりね)(かなで)さんは落ち着いた雰囲気の美人さんだった。  穏やかで話しやすかった良い人のイメージしかなかった。けれど意外に人間関係が泥沼。  いや、カナブンの勘違いの可能性もある。  本人から何か聞かない限りは考えないことにする。    奏さんは、本当に良い人で何か困ったことがあったら相談してなんて言ってくれた。  雄大に奏さんに話をするように言われてその通りだと頷く。雄大が俺を信じて動き出したのなら後は引き金を引けば全部終わりだ。     鉈好き:宮田一筋百年だから!! 鉈好き:宮田好きに名前変えておくから!!!      この雄大の台詞でムカッとする俺は心が狭いんだろう。  百年しか一筋じゃないのか。そこは一生とか生涯って言いきれよ。  百年後はどうする気だ。

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