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ふた

 またこの夢だ。垢ぬけないどこにでもいそうな子どもが髭面の汚い男の下で藻掻いている。  雨漏りで腐り、たわむ天井。ぶよぶよの畳を隠すように敷かれた、かび臭さと汚臭漂うせんべい布団。無数に酒の空き缶が転がる狭いアパートの部屋での出来事だ。  俺は斜め上からそれを見ている。  汚い面の男は泣いて叫ぶ子どもを殴りつけて大人しくさせると、ズボンとパンツをはぎ取って、性器というにはまだ幼い排泄しか知らないそれを雑に揉んだ後、そこもまた本来は排泄にしか使われない穴に指を無理やり突き立てて体ごと揺さぶった。  一瞬、その子どもと視界が繋がったかのように、俺の目の前までが真っ赤に染まる。足の間から体を真っ二つにされたのではないかと思うような鋭い痛みの後、腹を内側から殴られたような衝撃。  子どもと男は、愛し合う男女と同じようにつながっていた。  男が鼻息荒く腰を振ると、子どもが壊れたおもちゃのように、断末魔のような叫び声を出す。言葉にならない叫び。体の痛みからなのか、嫌悪感か、助けを求めているのか、明確にはわからない。強いて言えば、そう、悲痛な獣の声。  頭がおかしくなりそうなほど、大きくて、とてつもない、言葉にならない恐怖や悲しみを吐き出すその叫び。  ふいに顔面に衝撃が走った。 「――黙れ黙れ黙れ、るっせえんだよクソ! 黙らねえとぶっ殺すぞっ!」  顔に男の唾が吹きかけられる。

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