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 生徒会の副会長なんていう役職が自分に不釣り合いだと知っている。  オレは一度も生徒のためを考えたことがない。  弘文が楽しんでくれるからいろんな提案をしたり周りと衝突せずにやっていた。  でも、弘文のいない生徒会なんか面白くもなんともない。  適度にサボっていたらいつの間にか現れた転校生にオレの居場所は奪われていた。  仕事をしないなら辞めろと当たり前のことを生徒会役員たちから言われたし、オレの分の仕事を転校生は完璧にこなしていた。  別に弘文のいない生徒会室に用はないのでどうでもいい。  やりたい人間がやればいいと思っていたら弘文に怒られた。  軽そうに見えて真面目な弘文はオレの態度がゆるせなかったらしい。  弘文がどうしてもというので仕方なくオレは生徒会の仕事をすることにした。    すると、今までサボっていた分として他がみんなオレに仕事を押し付けて何もしなくなった。  弘文に会いに行く時間が削られてストレスが溜まったある日、オレは生徒会室を抜け出した。  他人のことなんか考えたくない。    全寮制の男子校とはいえ弘文は一度もオレを自分の部屋に泊まらせてくれない。  どんなに遅くても部屋から追い出される。  オレの部屋まで送ってくれてもオレの部屋に泊まることもない。  弘文の謎の行動の意味をオレは理解することもなくその日を迎える。    生徒会室から抜け出してオレは弘文の部屋を訪ねた。  出てきたのは転校生。  意味が分からないし不愉快極まりない。  玄関先で言い争う声に弘文がやってきて当然、転校生を追い出すのかと思えば追い払われたのはオレ。  その時はまだ弘文がおかしくなった、その程度の認識だ。    生徒会室に戻って他の役員分の仕事をして弘文の不満をひとりでつぶやいているとやってきた風紀委員長に気味悪がられた。  風紀委員長の兄は弘文の親友でオレともよく顔を合わせる。  弘文と違ってスキンシップが好きで誰とでも仲良くなれる人だ。  前年度の会計をやっていた彼を思い返すといつもオレのフォローをしてくれていた。  怒りっぽい弘文をなだめてオレに優しくするように諭して味方になってくれるのは彼だけ。  真面目で短気な弘文とは正反対に心が広くて優しい元会計だが風紀委員長はどちらかといえば弘文似。  兄がオレに向けてくれる甘さなど少しもない。    弘文がオレを嫌って迷惑しているとか転校生と付き合っているから邪魔をするなとか嘘を並べ立てる。  風紀委員長のくせに風紀を乱す愚か者だ。

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