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五
下鴨であるオレは学業の成績などは気にされないが家からひとつだけ言い含められていることがある。
それは在学中に伴侶となる相手を見つけることだ。
伴侶と言っても男女の結婚のような関係でなくていい。
オスとしてタネを提供してくれる相手を探すのだ。
もちろん、婚姻関係になるのが望ましくはあるがタネ、精子をもらうだけでいい。
オレの体は普通の男性とは違い膣がある。
子宮は機能しており不定期に生理もあり妊娠が可能な体だ。
学園内の誰にもそのことは告げていない。両性であることはバレていない自信がある。
生理で体調が著しく崩れることもあり風邪を引いたことにして部屋で寝ている。
毎月のことじゃないので多少、虚弱なイメージがつくぐらいで済んでいる。
妊娠してまで学園に居続けろとは言われない。
だから、孕んでしまえば休学か自主退学。
弘文と離れたいから転校したいなんて願いはきっと家に却下されるのでオレが学園から離れるには妊娠するしかない。
使えるものは何でも使って望みを叶えるのがオレだ。
今までずっと全力で弘文のそばにいようとしていた。
けれど、それは弘文自身の口から何度も迷惑だと言われ、やめるように懇願された。
口ではそう言ったところで弘文の本心は違うとオレは気にしたことはなかった。
照れているだけだと笑っていたが、もし弘文が本当にオレが嫌いでオレの存在に迷惑していたのだとするならなんてことをし続けていたんだろう。
泣いて泣いて、気づいた時には風紀委員長の兄にあやされていた。
元会計なのでオレ以外がサボっている生徒会が気になって見に来てくれたという。
優しさに感動したついでにオレは彼に甘えることにした。
いつも「俺に出来ることならするよ」と言ってくれる人なので大丈夫だろうと涙をぬぐって頼み込む。
「オレを抱いてくれませんか」
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