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「……っ、……っ!!」    いやがる康介の声が耳障りで思わずタオルケットの端を口に詰め込んだ。  康介の手は俺の片手で押さえこんでいるので声が出せないでいる。   「痛い痛い言ってたわりに気持ちよさそうに勃起させてんじゃねえか」    最初のころに比べるとやわらかく解れた女性器。  蜜壷と表現されるのがわかる濡れた感触は自分を求めているようにしか感じない。  嫌がっていたのが嘘のように俺を締めつけて離すまいとしている矛盾を指摘すると康介は泣きじゃくる。  首を横に振って俺の言葉を否定しようとしてくるが俺を好きでもなければ濡れるわけがない。    俺のことを好きと言えない理由でもあるのかと疑いたくなる。  今更なにを誤魔化そうとしているんだ。  苛立ちから出たのは「ふざけんな」というもので腰の動きを加速させることにしかならなかった。  自分の感情の出所が混乱しすぎてわからない。  ただ下鴨康介を孕ませるなら久道でも他の誰でもなく自分だと俺はよくわからない確信の中にいた。   「俺の子どもがほしいって素直に言えばやさしく抱いてやる」    康介の口を自由にもしないで俺はそう囁いた。  自分が自分でなくなったような違和感の中にいながら欲望を吐き出す作業にのめりこむ。  汗で肌と肌の密着感が上がる、それが気持ち悪いと感じない。  押さえつけていた手を外しても俺を突き放すのではなく耐えるようにシーツをつかんで震える姿にいつもの元気の良さはない。  俺だけが知る下鴨康介。  だが、俺以外が見る可能性があったのだと思うと腹の底が焼けつく。    俺は康介の気持ちに応える気はなく、いつだって少し邪険にしていた。  出会ったころから俺が何を言っても聞かずにくっついてくるどうしようもないやつだと思っていたからだ。  嫌味も苦情もなにもかも聞き流すバカだった。    俺はその関係を壊すことなく卒業する気でいた。  それなのになぜ、こうなってしまうんだろう。    康介の身体の作りに気持ち悪さではなく危機感を覚えた。  俺以外の人間と子どもを作れる可能性にゾッとした。  康介が男なら俺を含めて誰とも子どもは作れない。  けれど、康介は女の場所がありきちんと感じている。    久道に誘いをかけたように目を離したら他の男のタネを体に入れようとするバカだ。  何を考えているのか知らないが下鴨康介は俺が管理するべきだろう。  後輩の面倒を見るなんていつものことだと俺は自分の行動を無理やり納得して正当化した。  康介を孕むまで犯し尽くすのは先輩として何もおかしなことじゃない。

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