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番外:下鴨家の人々 「長女」1
下鴨弘子視点。
※番外編は時系列順に並んでいない可能性があります。
小学生になったので私も年相応に落ち着いてきた。
むやみやたらに大きな声を出さない大人になった。
家に居座っていたひーにゃんが週一ぐらいの通いになったせいもある。
ぶつける相手が居なければ人は声を上げない。
誰もいないところで意味なく叫ぶのは声の無駄遣いだ。
おにいはヒロくんとコウちゃんが言い争っていると不安そうな顔をするけど、あれはあれでいい。
言える相手がいるからこそ吐き出す言葉が生まれるのだ。
ヒロくんが居なければヒロくんに向けたコウちゃんの言葉は生まれない。
コウちゃんが居なければコウちゃんに向けたヒロくんの言葉は生まれない。
生まれなかった言葉は心の中で結晶になる。
いつかそれが涙となって流れ出す。
泣くことでスッキリするとテレビで言っているけれど泣きたくないことだってある。
大人はきっと泣かないで済ませたいことも多い。
流れない涙の代わりの言葉の銃弾。
心の痛みを攻撃力にしているので当たってしまうと痛いかもしれない。
お互いが傷だらけになっても回復力だって早いから弾がなくなるまで撃てばいい。
どれだけ私たちが気にしてもコウちゃんはヒロくんが居れば笑っているし、笑っているコウちゃんにヒロくんは甘々だ。
幸せに気付くのは難しいとテレビは言っていたけれど、ウチの場合は単純明快。
コウちゃんさえ笑っていたら円満だ。
落ち込んでいたり元気のないコウちゃんは下を見てヒロくんを見ない。
ヒロくんはコウちゃんが自分を見てないとイライラしだすので、コウちゃんさえ元気に笑っていればいい。
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