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番外:下鴨家の人々プラス「海問題18」
下鴨康介視点。
弘文がエロいエロいと思っていたけれど、エロすぎる。
名前を耳元で囁いてくるとかベッドの中でも少ないというのにまだ太陽が真上にある時間からだ。
落ち着かない俺を知ってか知らずか保冷剤的なもので責めてくる。
口を開いたら子供には聞かせられない声が出てしまいそうなのでなんとか耐える。
俺は親として尊敬されるべき偉業を成しているのだが弘文は「スイカも綺麗に食べられないのか」と意地悪を言う。
スイカをちゃんと食べさせたいなら乳首をぐりぐりするの止めて欲しい。
「チーム分けを発表しますっ」
パンパンと弘子が手を叩いて視線を集める。
弘文は保冷剤的なものを俺のおでこに乗せた。
頭がゆだってるとしたら弘文のセクハラのせいだ。
「植物班と虫班に分かれて希少価値がありそうな写真をゲットしてください。動物や鳥なんかはどっちのチームでも高得点です。無人島だった島だからこその絶滅危惧っぽいものを集めてください」
「ちなみに写真だけではなく植物ならどんな匂いで日陰日向か、虫なら動きが素早いか、巣の様子などもきちんと観察して記録お願いします」
弘子の言葉を補足する形で鈴之介が面倒な注文を付ける。
島で見かけた不思議生物としてレポートにまとめるんだろう。
「点数はこの瑠璃ドンが本部で評価して随時教えてくれます」
意外にも会長は参加せず待機しているらしい。
仲間外れが嫌いっぽいので驚く。
「ぼっち嫌いで弘文の後ろをついていってオレは混ざってますって顔する会長が」
「俺のこと忘れてるわりに嫌なことばっか記憶しちゃってんのな」
渋い顔をする会長は「……俺は不良は嫌いだったから」よくわからない理由を口にする。
不良嫌いだったら弘文の後ろをついてきたくなるんだろうか。弘文こそ当時は不良代表選手になると思う。
リーダーだ大将だと散々持ち上げられていた。弘文本人が不良じゃないと言ったところで周りがアレでは説得力がない。
「ヒロ先輩ヒロ先輩と言いながら舎弟やるなんて不良じゃないならマゾだ」
「かわいそうな奴を見る目をするな。俺はもう舎弟とかそういうんじゃない。立派な、対等な、取り引き相手としてヒロ先輩とは付き合ってる」
「そこで意地張っちゃうあたりが三下の香り。弘文には敵わないけど仕事の発注なんかするから立場自分が上だって素直に言えばいいのに」
「敵わないのに立場が上って矛盾はともかく、仕事は発注する側が上ってわけじゃない。ヒロ先輩のところなら安心で安全だから頼むんであって、俺が後輩だから仕事を融通するわけじゃない」
昔によく見た生真面目なムッとした顔。
会長は弘文とは違うところがいくつもあるけれど、こういった根本的な真面目さに弘文っぽさを感じる。
悪い奴じゃない。弘文が言うように良い奴とは思わないけれど悪い奴じゃない。
「瑠璃ドンに写真を送ってレアかどうか判断をあおぎます」
本部に残ることになる会長の方が忙しそうだ。
深弘もいるのでオレも残った方がいいんだろうか。
弘子のことだからオレと弘文を同じグループにするだろう。
今の状況だと木陰の影でキスされたり抱きしめたりそれ以上が平気でありそうで困る。
オレはどちらかといえば弘文の謎の勢いは嬉しいが、うっかり子供が目撃したら気まずくてかわいそうだ。
さすがに久道さんと子供たち、オレと弘文という分けられ方はしないだろう。
それなら会長と本部に残った方がいい。
本部というのはレジャー施設の中だろう。
瑠璃川の別荘を改築してホテルにしたり倉庫にしている最中だという。
海の近くや山の中にテントが張れるようなポイントがあるのでそこで寝泊まりする道具も用意してくれている。
バーベキューの道具なんかも瑠璃川の家がもともと用意していたもので来年のオープン用にそろえたものではないらしい。
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