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番外:下鴨家の人々プラス「海問題31」

下鴨弘子視点。    猫耳をつけた男をどう思うか。  結論は気持ち悪い、である。    長男と次男は身体の発育が早いので多少微妙だけれど、許容範囲内。  ひーにゃんが用意した猫耳たちはとてもよくできている。    長男の鈴之介はスコティッシュ・ホールドを彷彿とさせる折れ曲がった猫耳で色は明るい茶色。  次男の弓鷹はオーソドックスな形の猫耳で茶トラ模様。  長女の私はオーソドックスな形の猫耳で三毛猫模様。  次女の深弘はスコティッシュ・ホールドを彷彿とさせる折れ曲がった猫耳で色は真っ白。    そして、我らが下鴨康介はオーソドックスな形で灰色の猫耳。  グレーの毛並みで連想するのはロシアンブルー。  ひーにゃんがコウちゃんをどう思っているのか一目瞭然で令嬢にあるまじき含み笑いをしてしまう。    真剣に植物をの写真を撮るコウちゃんは凛々しくも愛嬌がある。  迷彩服というガッチリとして暑苦しくなりがちなデザインを猫耳により緩和するひーにゃんの目論見は大当たり。  深弘はスカートで猫耳も帽子にくっつける形にしているけれど、コウちゃん以外はこの熱い中で長ズボンという地獄。  理由はもちろん安全のため。  肌を露出すれば虫に刺されてしまうかもしれない。  下鴨の血なのか私たちはみんなして肌が白く、虫刺され跡などが残りやすい。  ときどきコウちゃんが公園の蚊に襲われすぎたのかビックリするほど虫に刺されていることがある。  虫よけや日焼けどめを日常的につける習慣のなかったコウちゃんを説得するのは骨が折れた。コウちゃんはコウちゃん一人の身体じゃないと説得するよりも深弘を理由にするのが楽だった。次女に日焼けどめや虫よけ対策をしながら自分にも同じことをするコウちゃん。    私ならコウちゃんも一緒じゃないと嫌だと駄々をこねてみせるが深弘はすごい。視線ひとつだった。無言でコウちゃんを見つめて通じ合っていた。幼い妹と張り合うつもりはないけれど育ってしまうと彼女はとんだ怪物になるのかもしれない。    私、下鴨弘子、下鴨康介、下鴨鈴之介とプラスアルファ追いかけ撮影班としてお雛様。    迷彩服なのに私たちのように暑苦しくないどちらかといえば王子様服をアレンジして迷彩仕様にしたようなコウちゃん。かぼちゃパンツに白いストッキングではないけれど、シルエットだけなら似たようなものになっている。    ヒロくんがさり気なくストッキングはどこまで繋がっているのかコウちゃんのズボンの中に興味を示していた。娘はきちんと見ておりました。セクハラで訴えて勝てる。    

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