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「海問題 下鴨康介の欲求2」

「弘文の頭の中でおかされてる」 「俺が康介を頭の中で抱いてることを想像して感じるって、だいぶ、器用なことするな……」 「妄想してない?」 「お前がスローペースだから脳内ですでに喘ぎまくってる」  弘文がオレの喉を指で押してくる。  刺激されているのは外側なのに内側のやわらかな部分に弘文を迎え入れた気持ちになる。  喉の奥まで陰茎をくわえこんだことなんてない気がするのに想像できてしまえた。  苦しくて咳き込みそうな行動でも弘文の肉体の一部がオレの中に入り込むと思うと抵抗感がない。  体温がどんどん上昇していく。   「抱かれるのを想像して濡らすんじゃなくて、俺が想像してることに感じるってどういうことなんだ」  弘文の指先がオレの濡れた下着を撫でる。  男性器も女性器もあるので二倍ぬるぬるで酷いことになっている。  オレを弘文が欲しがってるだろうと思ってオレの身体が反応するのは当然といえば当然だ。  食べ物を消化するために胃液が出るようなものなので、不思議はない。  唾液を飲み込むと噛み続けていた弘文の味がするような気がして気持ちよくなる。    弘文を取り込みたいという欲求が強まっていけばいくほど、自分が両性で良かったという結論になる。  もし、女の部分がなく男だけで下鴨康介が構成されていたらオレの中に弘文が足りなさすぎると喚き散らしたに決まってる。    オレはもっともっと弘文が欲しい。  この世で一番オレが弘文を欲しがってる。 「弘文の想像通りの未来にはならないけどね」 「なんでだよ」    挿入せずに弘文の男性器にオレの男性器を押しつけて上下に揺れる。  ひきつった顔で「おい、待て」と口にするので「なあに」と首をかしげてみせる。   「わかってんだろ」 「弘文こそ、わかってんだろ? 挿入させてください、お願いしますだろ」    微笑みかけると「どこで覚えてきた」と呟きを返される。オレにこんな手法を教えてくるのは弘文以外にいるわけない。  ベッドでこういうことを言うと弘文に後ろから責められることになる。意地悪だ。オレは弘文の顔が見たいので体勢の変更を希望するしかなくなって、弘文指定のエッチな言葉を羅列していくことになる。    だが、オレの身体がテントの床の面に接することがないようにしてくれている。  オレの手のひらも体の上や弘文の手のひらで受けとめていた。  体重がかかるから弘文に負担がかかりそうだけど、下が硬いから気にしてくれている。  ベッドの上にオレを投げ飛ばすことはあっても冷たい床に激突する前に支えてくれるのが弘文だ。   「おねがいは?」 「確実に孕ませる気がする」 「新社長が即産休って空気読めないな」  オレの言葉に弘文がうめく。  きっとオレがそうであるように絶対に挿入したいってわけじゃなくオレが困ってる姿を見たがっていた意地悪だ。  弘文が耐えるか耐えないか、迷ってる姿が楽しい。    オレがお願いしたら弘文はたぶんセーブして行動する。  自分から言ってしまうと弘文の中のタガが外れる。  そんな弘文のことなんか分かった上でオレは弘文の言葉を待つ。    性欲モンスターになった弘文は用意されてるゴムの量じゃ足りないだろう。    葛藤している弘文の耳たぶを噛む。  昔にピアスをしていた気がする。  オレが弘文のピアスを欲しがったら耳に穴を開けないならくれるって謎なことを言っていた。  今は耳に何もない。    弘文がオレの名を呼ぶのを聞きながら食べたいものが弘文の肉体じゃないという当たり前なことに気づいた。  オレは今とても弘文の性欲を食べたい。弘文の感情全部を手に入れたい。

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