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運命かもしれない人 4

あれから、頻繁に郁からメッセージが届くようになった。 『お腹空いた~』 『次はいつ会える?』 『秋人に撫でられたい』 なんとなく、実家の犬に翻訳機を装着してみたときのことを思い出した。 「本当に、素直っていうか何ていうか……」 告白されても、警戒心が全く湧かない。ふと、友達じゃダメなのかなあと考える。それならきっと、郁が他の誰かを見つけたときに、辛い思いをすることもない。 『おはよう』 『いただきます』 『ごちそうさま』 『いってらっしゃい』 『おかえり』 『おやすみ』 何気ない挨拶が、誰かと時間を共有する幸せを思い出させてくれる。寂しさを一つ一つ埋めてくれるようなメッセージは、失恋の傷も癒やしてくれた。 『今日の夕飯、秋人は何食べるの?おれも同じものにするから教えて』 ちょうど仕事終わりにメッセージが飛んできて、返事に迷う。 この前突然帰ってしまったことで申し訳なく思っていたのもあって、差し入れでもしようかと思い立つ。時間的にまだ研究室だろうから、簡単に食べられるものがいいかもしれないと、目の前のサンドイッチ専門店を見て思った。 さすがにこれならパンも一緒に食べられる!なんて驚く郁は見られないだろうと内心残念に思ってしまったのは内緒だ。 見ていたら食べたくなってきたので、店に入りながら返信する。 『サンドイッチかな。良かったら差し入れに持って行こうか?』 『本当に!?今日もまだ終わらなくて、今からコンビニに行くところだった』 『迷惑じゃないなら行ってもいい?』 『うん!待ってる!』 文字から伝わる嬉しそうな様子に、思わず笑みがこぼれる。人数を訊くのを忘れてしまったので、とりあえず多めに買って持って行くことにした。

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