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第4話
「だいたい紅羽は、何で巽と女の子がいる飲み会に行っているんだ?部署が違う俺だって巽が合コンするって知ってたんだぞ。紅羽は、俺というものがありながら堂々と浮気をする気だったのか?」
彼の言う“巽”という苗字の人物は俺たちと同期入社で営業部の陽気な男だ。
巽は部類の女好きだから俺とどうこうなるなんてまず有り得ない。それは一緒に働いていた天嶺も知っているはずなのだが。
「そりゃ、俺にだって同期の付き合いってもんがあるだろう。天嶺だって接待でしょっちゅう午前様になるし……まぁ、合コンだってことはお店に行くまで本当に知らなかったんだけど」
罰が悪そうに俺の言葉尻は次第に小さくなっていく。職場では、約束した通りお互い全く赤の他人のふりをしている。まさかこんなにも毎日天嶺自身で蕩けさせられているとは誰も夢にも思わないだろう。
この5年の間で分かったことは、天嶺はとても嫉妬深く社内外どこにいても俺の行動を逐一監視しており全てが筒抜けとなっていることだった。
「ふーん、俺の接待と紅羽の合コン。どっちが価値あると思う?言ってみろよ」
解放を待ち侘び震える俺自身をお仕置きとばかりに天嶺の大きな手が双珠から先端へと執拗に扱き上げる。だが突然、解放寸前でその動きは止められてしまう。
「はぁん……」
解き放てなかった行き場のない甘い痺れが全身を激しく突き抜け、今まで堪えていた声が無意識に漏れる。
「紅羽の声、いつも思うけどエロすぎるよね。もっと啼かせたくなる。でもまだイかせないよ」
桜色の俺の突起だけを入念に弄り、俺の屹立をそれでも焦らそうとする天嶺に気が狂いそうな俺はその逞しい腕へ猫のよう無意識の内に爪を立ててしまう。
「意地悪、しない……でくれ、よ」
息も絶え絶えに呟く俺に天嶺はニヤリと口許に笑みを浮かべた。
「じゃあ誓えるか?二度と巽とは呑みに行かない。合コンなんて以ての外だ、と」
双珠を人質として握り締めている天嶺は、俺の耳朶を甘噛みしながら低い声色で尋ねた。
「返事は?」
もう一度低い声色で囁く天嶺に俺は思わず何度も頷いたのであった。
「それでは……」
満足そうに笑みを浮かべた天嶺は背を向けていた俺を反転させると、双珠への刺激を与えながら俺の後孔にも角張った男らしい長細い指が滑り込む。
ぐちゅぐちゅと淫猥な音が俺の耳にも届き、両頬が上気してしまう。
「そろそろかな?」
後孔から一気に指が引き抜かれると、俺は熱く猛々しい雄の上へゆっくりと腰を落とすよう指示された。
天嶺の雄は何度後孔に受け入れても最初の通過儀式はいつも苦しく難しい。それ程、天嶺自身の屹立が男であれば誰もが羨む程立派であることを物語っていた。
「相変わらず狭いな」
優しい口調とは裏腹に天嶺は激しく腰を打ち付け、肉と肉が擦り合う淫猥な水音がバスルームにハウリングする。
「ンんっ」
全身を激しく揺れ動しながら、無意識に俺自身の熱を天嶺の引き締まった腹部へと擦り付ける。
「はァん……」
何処も彼処も昂っている俺は後孔に蠢く大きな雄熱を、押し寄せる波のような快感と共に無意識に締め上げてしまう。
「イイよ、紅羽。本当に可愛い」
腰を激しく振りながら天嶺は俺に軽くキスをする。
濃厚ではなく触れるようなキスの方が、却って俺自身を擽り後孔に纏わりつく雄熱を更に締め上げたのだった。
「ねぇ、出してもいい?」
甘い声色が俺の中で絶頂を迎える許可を強請る。先程から俺自身も解放の瞬間をずっと待ち望んでいた為、拒否する理由なんて何一つ無かった。
あぁ、これって愛されているって思っていいのかな。
潤む天嶺の瞳を確認してしまった俺は、そろそろバッドエンドとなる恋の呪縛は解け始めているのではないか。5年間甘やかされ続けていた俺は、蹂躙する天嶺の熱雄を咥え込みながら打ち付けられた濃い白濁の飛沫と共にそう思ったのであった――。
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