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第19話

俺の口腔を蹂躙する天嶺の獰猛な熱雄。四つん這いで天嶺の熱雄を含んでいた俺の口唇から滴る蜜を、天嶺は指で掬うといつの間にか露となっていた俺の後孔へと潜り込ませた。 乾いた内側を俺たちの蜜で徐々に解していく。二本、三本と蠢く指の数が増えていく中で、俺はそう言えばあの晩自身の後孔にダメージを受けた記憶がないことを不意に思い出す。 そうだ、あの晩こんなにも大きな熱を受け止めたはずだが違和感も何も感じていなかったんだよな……。 天嶺からの言葉、そして裸で寝ていたことに囚われすぎて、つい忘れてしまっていたが肝心な身体の事情をようやく思い出す。 もしかして俺、あの晩本当は俺から何もしてなかったのか……? だとしたら、天嶺は俺のこと……あの晩より前から“好き”だった、とか? 有り得ない。この恋の始まりがスタートする前から両想いだったなんて。 一体天嶺は何、考えているんだ? 「――随分、余裕そうだな」 その低い声に俺は慌てて天嶺へと視線を上げる。眇られた天嶺の目は、ニヤリと笑っておりこれからお仕置きが始まることを予感させていた。 ようやく両手を開放された俺は、自らの熱雄を弄りながら天嶺の熱雄を背後から突き入れられるように後孔でぎっちりと咥え込んでいた。 不意に腰を深く打ち付けながら天嶺は口を開く。 「俺はな、一度手に入れたいと思ったモノは確実に手に入れないと気が済まないんだ」 後孔をぐちゃぐちゃに掻き乱しながらそう告げた。 「人事部への異動だってそうだ」 振り乱れた前髪を鬱陶しそうに片手で掻き上げながら天嶺は続けた。 ……どういうこと? 5年前の異動も自ら志願してのこと、だったのか?! 薄れ行く意識の中、新たな事実を俺は知る。 「紅羽も知っている通り、俺の仕事は成功を手にするために事前準備が執拗なまでに用意周到、しかも一つひとつその全てが綿密に計算されているんだ」 営業部へと在籍していた3年間、口癖のように何かとその言葉を天嶺は口にしていた。勿論、今の俺はこの天嶺の言葉通り仕事を進めているお陰で、営業成績最下位から脱出することができていた。 「ッ!」 天嶺の大きな手が俺の熱雄へと触れる。それだけでもう俺自身は達してしまいそうになる。 「ダメ……だ、天嶺ぇえ」 容赦無く擦り上げる天嶺に俺は白濁の液を吐精してしまう。 ビュクビュクと湧き上がる俺の熱い液体にまみれた天嶺の片手は、躊躇することなく形の良い天嶺の口腔へとそのまま運ばれた。 俺の吐いた蜜で天嶺の唇が扇情的に濡れる。 「甘いな」 その言葉に俺は羞恥心から俯いてしまう。 だが天嶺は俯く俺を許さず、俺自身の味がする舌を俺の舌へと絡ませる。 ウソ、甘くなんてないだろ! 苦すぎるっ……!! 眉根を寄せる俺に、天嶺はこう言った。 「俺にとって、紅羽の全ては甘く感じるんだ。まぁ、惚れた弱みってヤツだな」 すぐさま言われた意味が理解できなかった俺は、天嶺へと視線を向ける。 「言葉のままの意味だよ」 くしゃりと笑みを浮かべる天嶺は、とても甘い目をしていた。

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