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第7話

 一都から「絶対に言わないで」と言い含められた。だが、自分は竜我の部下で待遇もよくしてもらっている。そんな竜我の愛人の秘密を知っておきながら口にしないことはどうしても憚られた。  万治がうろたえたのを見て、一都は続けて言った。 「知られたら、出ていきます」 「……そんなこと、できねえだろ。知ったら竜我さん、監視つけるだろうし。そのひょろい体でどうするつもりだ」  きっと十人でも二十人でも監視をつける。  背中に冷や汗をかきながら余裕のつもりで笑みを浮かべた万治を一都は静かに見つめた。  それはカタギとは思えない、覚悟を決めた目だった。線が細いのに、油断ならない危険さを感じさせてくる。 「今さら、誰にどうすることもできないんです。だから、言わないでください」  それは「お願い」というよりは「忠告」に聞こえた。

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