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イバラの道

『結婚するから別れて欲しい』 そう切り出された一週間前。 俺は、親の会社を救いたいという恋人である彼の真剣な願いを受け入れるしかなかった。 お互い想いを持っていれば、また共に歩んでくれると思っている俺は未練が尾を引いている。 友人の1人として参加した彼の結婚式を複雑な気持ちで見送り、帰ろうと引き出物を受け取った俺を呼び止める声に動きを止め、振り返ると着替えた彼が息を切らし話があると俺の手を引いて近くの部屋に押し込まれた。 「おい!」 「はぁ、はぁ、やっぱり…っ……無理…」 「はぁ?」 「あの女とキスは無理」 口直しと俺の顔を両手で固定し、重なった柔らかい感触にいつものスイッチが入る。 リップ音と唾液が交わる音が、静かな部屋に響き、それだけでお互いの性欲バロメーターがあがり、 後ろ手で鍵を閉めた俺は、彼のジーンズに手をかけると、俺もとスラックスを脱がしにかかってきた。 名前を呼び、彼の少し膨らんだ陰茎を擦ってやるだけで身体を震わせ、キスをせがむ様に舌を出す。 「声が聞きたい…」 「ムッツリ…終わったらホテルに行く」 「花嫁を置いて?」 問いかけた言葉を悪くねぇと笑って見せる彼の舌を絡め取り深く、口づけを交わす。 例え後ろ指を指され、生きづらくなるいばらの道を歩む事になったとしても、俺は彼を想い愛し続けるだろう。 お題 『絶望が世界を覆い尽くしても』

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