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恋してる。

『観たい映画があるんで今週末空いてますか?』 そうチャラ男に誘われ、うん。と頷いてしまった事に今更ながらに後悔している。 ドタキャンなんてすれば、脈がないと思われて去っていくのかも知れない。 それはそれでいいのかもしれないけど、でも、好きになったのは事実なわけだし… ベットの上で胡座をかき、画面にチャラ男と表示されている携帯とにらめっこ中だったのだが、突然鳴り出した携帯に驚き、高鳴る鼓動を押さえながら、 震える携帯に手を伸ばした。 『もしもし?由貴さん?』 彼だ。 低く、通る声は電話では少し高くて、いつもと違う声に思わず携帯を投げてしまい、少し離れた所から聞こえる彼の声にまた胸が苦しくなる。 話さなきゃいけないと震える指先でスピーカーに変えれば、彼の声が大きくなった。 「な、何?」 『明日、覚えてます?』 うん。と頷いても相手には見えていない。 失敗した。 まぁ、いいや。と時間と場所を伝えられてる時にでも、うん、うん、と見えてないのに何度も頷いてしまう。 返事がない事に少し苛立つ彼に、ねぇ!と声を張り上げ呼び止めると、何?と少し笑いを含めた声色に変わる。 「ど、どっちで行くべき?!由貴?由貴子?」 『どっちも由貴さんでしょ?』 彼が爆笑し、返って来た言葉にまたドキッと鼓動が鳴り、それは電話を切った後も続いていた。 明日、僕は生まれて始めて『由貴』としてデートをする。 Twitterお題『いつもと違う』より 使用キャラ https://fujossy.jp/books/12791?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=user_share_tweet

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