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風船が運んできた想い
本日、晴天なり。
雲一つない爽やかな青空に秋の心地よいそよ風。
そうとなれば、連日の雨で溜まった洗濯物を片付けなければいけない。
朝から全部屋の窓を開け、籠いっぱいの洗濯物を両手で持ち、棚の上に置いた所で、青色の風船がぷかぷかと浮いてきた。
なんだろう?と疑問が過るも、風船が目の前を過ぎた所で何故か白い紐を慌てて掴み引き寄せる。
凧糸より細い紐に巻きつけてる白い紙を見つけ、それを開いてみると、メモいっぱいに殴り書いたような文字で
『大好き』
と書かれているが、送り主の名はなく、悩んでいると、次に紫色の風船が風に揺られ上がってきた。
次のメモには、
『下を見て』
と書いてある。
疑問は増えて行くが、取り敢えず書いてある通りに身を乗り出し下を見ると、大きな声で僕の名前を呼び、身体全体で手を振るわんこがいる。
「何してるの?」
いつもより声を張り上げた僕の呼びかけに答えることもなく、背負っていたリュックを地に置き、取り出したスケッチブックを頭上より高く掲げた。
紙に隙間もなく書かれた文字と今日の青空と同じような彼の笑顔に僕は恥ずかしさと嬉しさに心がいっぱいになった。
『楓さんが大好きです!!』
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