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<智紀>4:誠の大暴走

誠からのメールが、少なくなってきた。 一週間前に、焼肉を食べに行ったあたりから何だか誠の様子がおかしい。 食あたりでもしたんだろうか。 「誠ー!今日放課後空いてる?」 「あ、ああ…」 最近放課後に誘っても断られることが多くなったので、僕はホッとした。 誠が僕の誘いに乗らないなんて、浮気?!って思ってたけど安心安心。 一緒に帰りながら話をしていても何となく元気がない。 どうしたんだろう、どうしたらいいんだろう。 取り敢えず元気のない時は、歌おう! 「久々にカラオケでも行こっか!!」 「おおお?」 誠の腕を引っ張り、ほぼ無理矢理カラオケへ向かった。 「なに飲む?」 オーダー画面をにらめっこしていた誠に聞いた。 すっかりいつもの誠に戻っている。 「メロンソーダかな」 「何と、可愛らしい」 僕が言うと誠は照れたように笑ってる。 よかった、何でもなかったんだ。 僕の頼んだコーラと、誠のメロンソーダが届いて誠が一曲目を歌おうとしたとき。 そうそう今日の様子を撮らなきゃ! 忘れてた! 僕がスマホを鞄から取り出して、撮影しようと誠の方に向けた途端。 突然、手に持っていたマイクを誠がソファに投げ捨てた。 「それ、止めろってんだよ!!」 大きな声で誠が僕を睨みつけて怒鳴る。 「ど、どうしたの…?」 スマホを持ったまま固まってしまった。 僕に対してこんなに怒鳴った誠は、初めてだ。 「…ッ!!」 舌打ちをして俯いた誠は、自分の鞄を手にした。 「もう、ウンザリだ!帰る!!」 「ちょ、誠…!!」 誠は部屋を出て行き、大きな音を立ててドアを閉めて行く。 何が起きたのか分からないまま、僕は部屋で突っ立っていた。

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