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<智紀>5:放課後の作戦会議

それから一切、誠からのメールも電話もなくなった。 学校でも目を合わさないし、話しかけて来ない。 こんなこと初めてだった。 「何をどうしたらいいか、分かんないよ〜〜」 「アホか!」 「岡崎、言い過ぎだって…」 僕は一人ではどうにもならないので仲良くしてくれてる二人に相談した。 岡崎と山崎は、僕と誠の関係を知っている唯一の共通の友達だ。 「そもそも何で私があんたの恋愛相談にのらなきゃなんないのよ」 ドライな岡崎は女子らしからぬサバサバした性格で、いつも馬鹿にしてくる。 だけど本当はいいやつなんだ。 放課後の教室で、作戦会議を練りたいとお願いした時もはあ?と言いながら結局待っていてくれたんだ。 「まー、智紀はこう言うの苦手だもんなあ」 隣で相槌を打っているのは山崎だ。 いつも岡崎とつるんでいるから付き合っているのかと思いきやただの幼馴染だとか。 幼馴染て言うだけでこんなに一緒にいるものかなあ… 傍目には、いい感じなのになあ。なんの障害もないんだから付き合えばいいのに。 って、たまーーーにイラっとするのは僕らが男同士だからだろうか。 「で?誠が歌おうとしたらブチ切れたの?」 まるで事情聴取のように岡崎が聞いてくる。 「そうそう」 「自分が歌おうとした曲を間違って他の曲を入れてたとか?」 山崎がそう言うとあんたは黙ってな、と睨みつけた。 「それまでは普通だったんだよ、笑ってたし…」 あ、でも一週間くらい様子がおかしかったけどと付け加えた。 メールも電話も少なくなり、放課後も断られて… 「典型的な「冷めた」モードだわねえ、それ」 ふう、と岡崎がため息をつく。 えええ、冷めたモードって何?! 「そんな態度になってきたら大体別れを切り出される前よ。本当に何かしでかしたんじゃないの?怒って出て行く直前、何したの」 「え…っと確か、撮影しようとしてスマホを向けて…」 「それな!!!」 「それだ!!!」 岡崎と山崎が同時に指を差す。 スマホが何?! キョトンとして二人を見ていたら、岡崎が頭を抱えていた。 「はーーーーー。ほんっとにめんどくさい!!」

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