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第80話
「ほら、これ」
「嫌だ!」
「飲まなきゃお前が辛いぞ」
「嫌だ!」
俺は今冬馬に押さえつけられて酷いことをされようとしている。
「大人しく薬飲め」
「錠剤ならのむ!」
「粉しかないんだから仕方ないだろ」
そう今家には風邪薬が粉しかないのだ。
そして俺は粉薬が飲めない。
あの口の中に苦い味が広がって水を飲んでも少し残っているような感じが嫌いだ。
昔はアイスクリームに混ぜて飲まされたけど味が無理でそのせいでそのアイスが嫌いになったくらいだ。
「子供じゃないんだから…ガっといけば一瞬だ」
「無理無理」
首を振って頑なに拒否する俺に、冬馬は無言で近づいてきて鼻をつまむ。
前にもやられたことがあったから何をしたいかすぐにわかるけど抵抗できない。
「っぷは!……うぇぇ…」
苦しくなって息継ぎをするためにあいた口に素早く薬と水を入れられた。
苦すぎる…
くそ~冬馬め…
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