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第88話

「ほら遥斗、次あれ乗るぞ!」 「はいはい」 冬馬がどれに乗りたいか聞いたのは最初だけで、しかもそれも「それよりこっちの方が面白い」と言って却下されてしまった。 なんで聞いたんだよ!って思ったけど冬馬の連れていってくれる所はちょうど空いている人気アトラクションだったり、意外と知られていないスポットだったり短い時間で面白いところを沢山回れた。 誠の時とは正反対で俺の意見なんか全然聞いてくれないけどこれはこれでめちゃくちゃ楽しい。 「そろそろ三時だしアイスでも食うか?」 「冬馬が食べたいだけだろ」 「ま、そうだけど。遥斗も食おうぜ」 「しょうがないなぁ」 とは言いながらも実は自分も食べたかったので二人でアイスだけでも列ができているその最後尾に並んだ。 「そっち一口くれよ」 「は?やだよ…って、ちょっ…!」 聞いてきたくせに俺の返事を聞かずに人のアイスを食べてきたので仕返しで冬馬のも食べてやった。 あれ?これって側から見たらただのバカップルがよくやるやつじゃない…? という考えが浮かぶと急に恥ずかしくなった。

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