89 / 124

第89話

「おいまだ怒ってんのか?ってかお前も俺の食ったんだからおあいこだろー?」 「…」 怒ってはない。 怒っている訳では無いけどただ恥ずかしくなっているだけだ。 しかも一度黙ってしまったらどのタイミングで許していいのかわからなくなって余計に話しずらい… 「次は遥斗の行きたいとこ行ってやるから機嫌直せって…って言ってもあんまり時間ないから人気なのは乗れねーな」 時間? 今はまだ16時前だし帰るには早いよな… 「何不思議そうな顔してんだよ誠が九時から十三時まで、俺が十三時から十七時までって決めてたんだよ。俺だけ長かったら不公平になっちゃうだろ」 「あ、そっか」 「この後は遥斗が帰りたいって言ったら帰るし、まだいたいって言うなら三人で回るか二人で回るか」 まだ帰りたくない… 冬馬の話だと夜になると花火が上がるらしいし、それまではいたいなぁ… 「まぁ今はどこにいくかを先に決めてくれ」 「えー…じゃああれ」 「あれどう見ても待ち時間一時間以上あるだろ…」 「またそれかよーじゃあ冬馬が決めろよー」 「だから拗ねんなって、せっかくアイスのこと忘れてくれたのかと思ったのに」 拗ねてないけどね… 冬馬に顔を見られないように一歩先を歩きながらクスクス笑っていると今度は逆に冬馬が拗ねてしまいそうなので仕方なく許してあげることにした。

ともだちにシェアしよう!