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第91話

「飲み物だけでよかった?どうせならなにか食べるものでも買ってきてもらう?」 「いや、夕飯いっぱい食べたいし今は食べるものはいいや」 結局ジャンケンに負けたのは冬馬で今は誠と二人っきりだ。 「そっか、それならこのまま二人でどっかいっちゃう?」 「え、俺これ乗りたいんだけど」 「…そうだよね」 「ん?うん」 誠のよく分からない質問に答えると呆れたような諦めたような目で見られてよく分からなかった。 「ほら、買ってきたぞ」 数分後思ってたより早く帰ってきた冬馬は少し息が切れていてもしかして走って来たのかな?と思った。 もしかして俺らがもうアトラクションの中に入っちゃうと思ったのかな…? なんてことを考えながら冬馬の買ってきてくれたオレンジジュースに口をつけた。 「そう言えばこのアトラクション横二人乗りだけどどうする?」 列も半分くらいになった所で冬馬が不意にそんなことを言った。 二人は俺の顔をみているからきっとどっちと乗るか決めろってことなんだろう。 「んー冬馬かな」 「え?!なんで?」 「だってさっき飲み物買ってきてくれたし」 「それはジャンケンで負けたからだろ?不公平じゃないか」 「いや、これこそ公平だと思うけどな。なぁ?遥斗?」 また二人がバチバチと言い争いを始めようとしているのをまぁまぁと間に入って宥めようとするけど冬馬の煽りが止まらない。 「すぐ抜け駆けしようとするからだぞ」 「冬馬だってあわよくばって思ってただろ」 「いやぁ?俺はそんなずる賢いこと思いつかなかったな」 これはもうダメだ… と思い二人を放っておくことにした。

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