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第3話
「楠木くん次体育館でオリエンテーションみたいだけど一緒に行かない?」
「え?いや、俺は……」
翌日、校舎案内だの学年集会だのすでに学校中を歩き回っているというのに次は体育館らしい。
俺は遥斗と行くから、話しかけてきた男子にそう言おうとして遥斗の方を見ると椅子を後ろに向け仲よさそうに誠と話している姿が目に入った。
その時無性に腹が立った。
遥斗には俺だけのはずだったのに…
自分の中で遥斗が心を許しているのは俺だけだと思い込んでいた。自惚れていた。
だからこそこの時、はじめて遥斗を取られたくないと自覚した。
「楠木くん?」
「悪い、俺あいつと行くから」
そう言えばこいつに話しかけられてたんだった…
名前も知らない男子に返事を返すと仲良さそうに話している遥斗の邪魔をしに行く。
「おい遥斗次体育館だってよ、早く行くぞ」
「え?あ、冬馬!待って!」
ほら、遥斗はまだ俺を選んでくれる…
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