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あなたが好きだと言ってるじゃない〜結〜1
結
雨が後から後から降って来る。
ボクを嘲笑っているみたいに、全身を濡らして、流れる涙を洗い流す。
このまま、雨がボクの戀(こい)も流してくれればいいのに。
全部なくなれば、きっと、楽になれるのに・・・。
渡せなかったプレゼントを抱きしめたまま、ボクはとぼとぼと歩いていた。
体が冷えていく。
全身びしょ濡れで下着まで冷たい。
靴の中にも水が入ってしまい、歩く度にものすごく気持ち悪い。
このままじゃ風邪ひくな・・・。
まあ、どうでもいいけど。
台風が近づいているせいか、道路には誰もいなかった。
帰宅中のサラリーマンもいないし、通りすぎる車も来なかった。
ボク、何やってんだろう・・・?バカバカしい。
この世にはもう自分しかいないんじゃないかと、そんな気分にさえなった頃、後ろから車の音がした。
ああ・・・ボク以外の人間がいた・・・。
うすぼんやりとそんなことを考えていると、その車はボクの前方10mくらいのところに止まった。
部長の車と同じスポーツタイプの黒い車だった。
何気なく見ていると、ドアが開いて、中から傘が出て来た。
遅れて出て来た人を見て、ボクは立ち止まった。
「部長・・・どうして・・・?」
部長はゆっくりとボクに近づいて来る。
心なしか、何だか泣きそうな、嬉しそうな顔をしていた。
嫌だ・・・何で追いかけて来たの?
どうして・・・またボクを傷つけるため?
もう何も聞きたくない。
これ以上、貴方の口から何も聞きたくない。
ボクはゆっくりと後ずさりした。
部長が少しずつ、少しずつ近づいて来る。
ボクを掴まえようと。
ボクは体を翻(ひるがえ)して、一気に走りだした。
あの手に捕まってはいけない。
また、傷つけられる。
苦しめられる。
これ以上は、もう無理です・・・。
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