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あなたが好きだと言ってるじゃない〜結〜3
*
部長はボクを車に乗せて、家まで連れて行ってくれた。
シートが濡れてしまうので渋っていたボクを、自分も濡れてるから気にするなと言ってくれた。
こっちが気を遣わないようにしてくれるところが、好き。
マンションの地下駐車場に車を止めて、エレベーターに乗る。
部長はその間ずっと、ボクの手を握りしめていた。
逃げないように、何処かに行かないように、繋ぎ止めているようだった。
エレベーターが開いて、廊下を少し歩いて、部長が玄関の鍵を開ける。
部長はボクを先に中に入れると、後から入って鍵を閉める。
部長の家に来てしまったことに、ボクは緊張して動けないでいた。
全身ずぶ濡れなのに、寒さも感じないくらい、緊張していた。
部長は手を伸ばして廊下の電気を点ける。
短い廊下の突き当たりはドアがあり、恐らくその向こうがリビングなのだろう。
右側にはドアが3つある。
トイレとかお風呂なんだろうな。
左側にもドアがあって、そっちはきっと寝室かな。
そんなことを考えていたら、部長はボクが後生大事に抱えていた紙袋と鞄を取って、靴箱の上に置いた。
「あ・・・」
ボクの顎を捕えて仰向かせると、またキスをしてくれる。
「・・・んん・・・ぶちょ・・・」
部長は少し、口唇を離すと、
「その『部長』ってそろそろ止めないか。病院にいるみたい」
「じゃあ・・・悠貴・・・さん・・」
言ってから、一気に顔が熱を持つ。
真っ赤になって、みっともない顔になってる。
悠貴さんは、嬉しそうに微笑んで、再び口吻けをする。
ボクは悠貴さんの熱を感じていた。
舌が搦まるのを堪能していると、悠貴さんがボクの服を脱がし始めた。
「んんっ!・・・ちょ・・・やだ・・・」
執拗(しつよう)にキスをしたまま、悠貴さんはボクのスーツのジャケットを脱がし、ワイシャツのボタンを外して、ズボンのベルトに手をかける。
「ゆうき・・・さん・・ちょっと止めて下さい」
ボクは渾身(こんしん)の力で悠貴さんを押しのける。
長いキスで上がった呼吸を整える。
悠貴さんは、愉(たの)しそうに少し意地悪な笑みを浮かべて、
「そのままじゃ風邪ひくぞ。シャワー浴びよう」
「ふぇっ?!・・・一緒に?」
「もちろん」
「でも、あの、そういうのは・・・」
「薫と離れたくない」
「っ〜〜〜〜〜・・・・わかり・・・ました・・」
どんどん悠貴さんのペースに巻き込まれる。
でもそれが心地良かった。
「でも!服は自分で脱ぐから、いいです」
「え〜〜?脱がせるのが楽しいんだけど」
「自分で脱ぎます!」
ボクは真っ赤になった顔のまま、悠貴さんの胸を押し続ける。
ものすごく不満そうに悠貴さんが眉根を寄せる。
「仕方ないな・・・」
悠貴さんは軽く吐息をつくと、靴を脱いで廊下を進み、恐らくお風呂場のドアを開けると中に消えた。
ボクは、水が滴(したた)っている服を脱ぐ。
脱いだジャケットとワイシャツを腕にかけて、ズボンを脱ぐ。
靴下も脱いで腕にかけて、下着をどうしようかと悩んでいると、不意にドアが開いて悠貴さんが出て来た。
手には洗濯物を入れるようなカゴを持っている。
「服、これに入れて」
「ひゃ・・!」
ボクは思わず腕にかけている服で自分の体を隠していた。
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