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第あなたが好きだと言ってるじゃない〜結〜8

電話だ・・・!! ボクは慌てて玄関に行くと、靴箱の上に放置してある鞄の中から、スマートフォンを取り出した。 やっぱり!! 案の定、美影ちゃんからだった。 この調子だと昨夜から、何十回とかけてたんだろうな・・・。 ボクは慌てて応答ボタンを押す。 「・・・もしもし」 悠貴さんがまだ寝ているので、ものすごく小さい声で言った。 「薫!!薫なのね?!何処にいるのよ!!バカ〜〜〜〜!!」 美影ちゃんの泣き叫ぶ声が響く。 悠貴さんが起きちゃうんじゃないかとハラハラした。 「ごめん・・・大丈夫だから・・・」 「心配したんだから!警察に捜索願い出そうと思ってたんだから!すぐ帰って来て!!」 「いや、帰る時間はちょっとない・・・」 「勝手に外泊するような子に育てた覚えはないわ!早く帰って来て!顔見ないと安心できないのぉ」 「美影ちゃん、落ち着いて」 耳が壊れそうに響く美影ちゃんの泣き声に、ボクはどう対処しようか悩んでいた。 裸だから体が冷えてきたし、どうしよう・・・。 そんなことを考えていると、不意に背中から抱きしめられた。 「そんな格好してると風邪ひくぞ」 悠貴さんが後ろからボクを抱きしめて、暖めてくれる。 「あ・・・起こしちゃいました・・・?」 「いや・・・大丈夫」 「薫!!誰かいるの?!ちょっと・・・」 電話から漏れる美影ちゃんの怒声。 悠貴さんは、聞こえているはずなのに、全く気にする様子もなく、ボクを仰向かせるとキスをする。 「あ・・悠貴さん・・・んんっ待って・・・んんっ!」 「薫!ちょっと何してんの?!聞いてる?!」 悠貴さんが噛み付くようなキスをする。 舌が搦まる。 唾液が立てる音が大きい。 電話の向こうの美影ちゃんに、わざと聞こえるように音を立てているようにしか思えなかった。 悠貴さんは、ボクの手からゆっくりとスマートフォンを取り上げると、ボクの体を回転させて正面から抱き合う形にする。 ボクの腰をしっかり抱いたまま、深い激しいキスをする。 だんだん体から力が抜けていき、ボクは倒れないように悠貴さんの首にしがみついた。 悠貴さんは口唇を離すと、呼吸の乱れているボクを嬉しそうに見つめてから、スマートフォンを通話状態のまま靴箱の上に置いた。 そして意地悪く笑うと、急にボクの乳首を軽く甘噛みした。 「ひゃああっん・・・いや・・・!」 美影ちゃんに聞こえちゃうとわかっていても、声が抑えられない。 それがわかっていて、悠貴さんは意地悪をする。 悠貴さんは、軽く歯を立てたり、舌で押し当てるように舐めたり、強く吸ったりする。 「・・・やっ・・・ダメ・・・ちょっ・・・あああんっ・・・!」 どうしよう・・・美影ちゃんが聞いてるってわかってるのに。 抑えられない・・・気持ちいい・・・どうしよう・・・。 ボクがイキそうに気持ちよくなっているのをわかっているのに、悠貴さんはボクを解放すると、スマートフォンを手に取る。 「切れてる」 「え・・?!本当だ・・・」 ボクは悠貴さんからスマートフォンを受け取って確認する。 帰ったら美影ちゃんに怒られる・・・もしくは無視される・・。 説明が大変だぁ〜〜〜。 思わず重い溜め息をつくと、悠貴さんが、 「早く支度しないと、遅れるぞ」 と言いながら、シャワーを浴びに行ってしまった。 もう、こんなことになったのも悠貴さんのせいなのに・・・。 そう思いながらも、自分が笑っていることに気が付いた。

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