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あなたが好きだと言ってるじゃない〜結〜9

* それから、ボクは朝食を作り、悠貴さんと一緒に食べた。 あまり上手くできなかったのに、悠貴さんは美味しいと言ってくれた。 本当は悠貴さんのほうが料理が上手いんだと思う。 キッチンの鍋の数や、調味料が色々揃っていたり、冷蔵庫の中がちゃんと整理されてたり。 料理好きじゃないと、ここまでやらないだろうと思った。 ボクの拙(つたな)い料理を美味しいと言ってくれる悠貴さんが、好き。 一緒にご飯を食べて、一緒に出勤する。 服はやはり悠貴さんが洗って乾かしておいてくれた。 昨日と同じスーツなのが、少し気恥ずかしい。 悠貴さんは病院に着くと、いつも通りの表情(かお)で、申し送りをして、部下に指示を出していく。 ボクは、あの人がボクの恋人だということが嬉しくて、有頂天になっていて、指示を聞き漏らして怒られてしまった。 容態が急変した患者さんもおらず、比較的ゆっくりとした午前中を終え、悠貴さんとお昼ご飯も一緒に食べた。 こうして、いつもの日常を悠貴さんと過ごせるのが、嬉しかった。 本当は手を繋いだりしたいけど、病院でそんなことはできないので、ひたすら我慢する。 隣に並んで歩けるだけでも、良しとしないと。 ボクと悠貴さんは食事後、一緒に医局に戻った。 本当はボクが部下だからドアを開けなくちゃいけないのに、悠貴さんはすっとドアを開けて、ボクを先に中に入れてくれる。 さりげなく、自然にそういう行動ができるので、大人の男の人だと実感する。 ボクは照れながら頭を下げて、ドアをくぐる。 小走りでくぐった瞬間、院内アナウンスが聞こえてきた。 『花織薫先生、花織薫先生、至急総合受付までお越し下さい』 アナウンスが2回繰り返される。 「ボク・・・?」 呼び出される理由が思いつかず、ボクはキョトンとして斜め後ろにいる悠貴さんを振り返った。 仕事があるので上長である悠貴さんの許可がないと、抜けることはできない。 悠貴さんは、軽く肩をすくめて、 「10分で帰って来い」 と言ってくれた。 「すみません」 ボクは頭を下げると小走りで総合受付へ向かう。 外来診療棟の正面にあるので、ボクは連絡通路を通って向かった。 多くの患者さんや医療事務さんが行き来する中をすり抜ける。 総合受付に着くと、ボクは患者さんの受付を行っている正面ではなく、後ろから声をかけた。 「あの・・・今呼び出された花織ですけど」 制服姿の女性がボクに気付いて口を開こうとした瞬間、 「薫ぅ〜〜っ!」 背後から聞き慣れた声がして、いきなり背中に人がぶつかって来た。

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