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act.12 ”Calamity”
フランスでの滞在期間もあと僅かというある日。出掛ける、とそう言い残して朝からフレデリックが出て行ってしまい、辰巳はホテルにひとり取り残されていた。
行先は、聞いていない。だが、ダークスーツを纏ったフレデリックがどこへ行くのかは大方の見当がついた。
リビングでぼんやり煙草を吸う辰巳は、暇である。
日本にいる時から常に周囲に人がいる環境にある辰巳は、夜に自室で酒を飲む時以外に話し相手がいないという状況に慣れていない。こういう日に限ってクリストファーも顔を出す気配がないから困ってしまった。
ソファに寝そべったり起きてみたり、まるで子供のように落ち着きのない辰巳をフレデリックが見たならば何と言うだろうか。
ふとホテルにジムが併設されているのを思い出して、辰巳は立ち上がった。一応フロントに確認を入れて、部屋を出る。本館に当たる建物までは数分の距離だ。
ぶらぶらと緑に囲まれた敷地を辰巳が歩いていると、不意に怒声が聞こえてきて脚を止める。どうしてこう、タイミングよく自分はトラブルと出会ってしまうのか。
辰巳は立ち止まったままガシガシと頭を掻いた。フレデリックには、日本とは違うのだからあまり自分から首を突っ込むなと何度も言われている。そして、何度も手間を掛けさせているのも事実だった。
大きな溜め息を吐いて、辰巳は元の目的地へと向かって歩き出した。フロントで事情を話せばいいかと、そう思う。怒声だろうが悲鳴だろうが、聞こえたからといって自分が行ったところで何も出来る事はない。そう、辰巳は自分に言い聞かせた。
だが、はっきり言って、トラブルはいつだって向こうからやってくる。
今しがた辰巳の立っていた場所のすぐ近くで茂みが揺れて、随分と綺麗な顔の男が飛び出してきた。一見すると女と見紛うほどに線の細いその男は、辰巳の姿を見つけると駆け寄って来て腕を掴んだ。
『助けて』
フランス語で短く告げられた言葉を辰巳は理解できない。眉根を寄せて、英語で話せと辰巳は言った。
『助けて。追われているんだ』
追われていると言われても、ここはホテルの敷地内である。この男は外から逃げ込んできたとでもいうのだろうか。だとすれば、逃げ込む場所を間違えている。
なんとも要領を得ないまま、辰巳は男に問いかけた。
『誰に』
『マフィア』
男の言葉に辰巳は絶句する。辰巳の知る限り、イタリアなら露知らず、フランスにはマフィアと呼ばれる組織はそう多くないはずだ。一瞬考え込んで、辰巳は男の腕を引いた。とりあえず人のいる場所へ移動したい。
歩きながら辰巳は携帯を取り出してフレデリックに電話を掛けた。数コールの後、機械的な音声が流れてきて、舌打ちを響かせる。
緑が開けて本館の建物が見えた時だった。『止まれ』と鋭い声が背後から聞こえて辰巳が振り返る。そこには、リボルバーを手にしたクリストファーが立っていた。その表情が険しい。
辰巳は混乱した。いったい、どういう事か。隣の男が言っていたマフィアとは、クリストファーの事だったのだろうかと、怪訝な顔をした時である。クリストファーの口から、鋭い声が飛んだ。
『避けろッ!!』
英語で発せられたその声に、反射的に隣の男から辰巳は離れた。頬を、熱が過ぎる。
「ッ!?」
驚いて頬に触れた辰巳の指先に赤い体液が付着していた。刃物で切り付けられたのだと、そう気付いた時には遅かった。男に低い位置から髪を引かれ、仰け反った喉元に冷たい感触がある。そこにきてようやく、辰巳は自分の置かれた状況を把握した。
だがしかし、この男の狙いは辰巳自身なのだろうか、それとも誰でも良かったのか。それが分からない。動かした視線の先でクリストファーが酷く険しい顔をしているが、それだけでは判断がつかなかった。
『おい。お前の目的は何だよ? あの男と何があった』
『お前には関係ない。無事に帰りたければ大人しくしていろ』
男の言葉に、辰巳は少しだけ安心した。狙われているのが自分でないのならどうにでもなる。
この男とクリストファーの間に何があったのかは分からないが、辰巳が信じるべきはクリストファーである。問答無用で首元に刃物を突き付けるような男を助ける義理などなかった。
辰巳とクリストファーが顔見知りだという事までは、男は知らないだろう。クリストファーは辰巳を呼ばなかったし、避けろと言ったのも英語である。
さてどうしたものかと辰巳は考えた。クリストファーが近くにいるうちに何とかしてしまいたい。ここから、連れ去られる前に。
喉元に突き付けられた刃物が小刻みに揺れている。緊張か、恐怖か、さすがに歓喜に震えているなどというオチだけはやめて欲しいと思う辰巳だが、どちらにしても最初から躊躇なく切り付けるような男である。あまり悠長に構えている気にはなれなかった。髪を掴む手は、そう強くない。
『ゆっくり歩け』
男の声を合図に、辰巳がは動いた。
髪を掴まれたまま上体を大きく反らせて刃物から距離を取ると同時に、辰巳は両手をついて脚を跳ね上げる。予想通り髪を掴んでいた手はあっさり外れた。蹴り上げた男の手から、ナイフが綺麗に跳んだ。
驚きに目を見開く男を逆に背後から辰巳が締め上げると、クリストファーは小さく口笛を吹いた。
「上出来だ」
「何なんだよいったい…。こんなアトラクションを頼んだ覚えはねぇよ」
「アトラクション? 何を言ってる? それ、本物の犯罪者だぞ」
クリストファーの言葉に、辰巳は思わず抱えた男を見下ろした。『上出来』などと言うから辰巳はてっきりテストか何かかと思ったのである。マフィアの口から犯罪者などと言われると、些か恐怖を覚える辰巳だ。
「だったら悠長にしてねぇでさっさと連れてけよお前」
勘弁しろと言う辰巳に、クリストファーは喉の奥でくつくつと嗤いながらどこかへ電話を掛けた。
さして間をおかずにやってきた幾人かの男たちが、辰巳の腕から男を引き取っていった。クリストファーは、どうやら残るようである。
「しかしお前、本当に自分の置かれた状況を把握するのが遅いな」
「はあ? マフィアに追われてるとか言われるわ、お前が現れるわで、こっちは訳がわかんねぇよ」
「人質になるまで気付かない馬鹿はお前くらいのものだぜ辰巳」
そのままクリストファーと共に本館へと向かった辰巳は、救護室で顔と首の手当てを受けた。致命傷ではないが、頬の傷は痕が残るかもしれない。首は、掠っただけである。
まさか唐突に切りつけられるとは思っていなかったと、そう辰巳が言えばクリストファーが呆れたように溜め息を吐く。
「お前はいつも無防備すぎる」
本当に宝の持ち腐れだと吐き捨てるように言われて、辰巳が顔を顰めた時である。胸元で辰巳の携帯が鳴動した。取り出してみれば、液晶にフレデリックの名前が表示されている。
辰巳の残した着信を見て掛け直してきたのだろう。通話ボタンを押せば、聞き慣れた低い声が耳に流れ込んでくる。電話越しに聞くその声は、とても久し振りな気がした。
『電話を取れなくて済まなかったね。何かあったのかい?』
「あー…まあ、あったっちゃあったんだが…もう片付いたから大丈夫だ」
『そう。これから戻るから、もう少し待っていてくれるかな』
「ああ、気を付けてな」
そう言って通話を切った後で、辰巳はあっ…と奇妙な声をあげた。クリストファーが怪訝な顔つきで辰巳を見る。
「どうした?」
「あー…まぁたフレッドに怒られんじゃねぇかよ…」
額に手を遣って項垂れる辰巳は、完全に嫁の尻に敷かれた旦那のような様相だった。戻ってきたフレデリックが、辰巳の顔の傷を見て何を言うかなど決まっている。
今回は辰巳の方から首を突っ込んだ訳ではないが、そんな事はフレデリックには関係がない。と、辰巳がどう言い訳をしようかと唸っていれば、クリストファーが唐突に立ち上がった。辰巳が見上げる。
「どうした?」
今しがたクリストファーが発した言葉を、今度は辰巳が口にする。
「悪いな辰巳、俺は戻る。フレッドが帰ってくる前にやらなきゃならん事が出来た」
「ああ?」
「お前がとっ捕まえた坊やだがな、密輸品の隠し場所を吐かせなきゃならん。フレッドに口塞がれる前に聞き出さにゃ、俺が親父にどやされるだろうが」
躰を張ってでも時間を稼げとそう言い残して、クリストファーは出て行った。
残された辰巳が茫然と閉まったドアを見つめる。その数秒後、辰巳はようやくクリストファーの言葉の意味を理解してゾッとした。
わざわざ状況を説明してくれなくてもいいと、辰巳はそう思う。
それから一時間ほどで、フレデリックは帰ってきた。ソファで煙草を吹かす辰巳の顔を見た瞬間、大股で部屋を横切ってその頤に手を掛けたのは言うまでもない。
それ見た事かと顔を顰める辰巳に構うことなく、頬に張られたガーゼを引っぺがされる。痛みに、辰巳の眉間に皴が寄った。
「ナイフだね?」
「ああ」
「キミは本気で、僕に躾をされたいのかな…子猫ちゃん?」
ダークスーツを身に纏ったフレデリックが、死神に見える辰巳である。
自分から首を突っ込んだ訳ではないと辰巳がそう言えば、詳しく事情を話せとフレデリックが詰め寄った。いたぶるように傷口を舐め上げてくるフレデリックに苦笑が漏れる。
クリストファーの仕事は、どれくらいで終わるのだろうか。そんな事を考えながら、辰巳は自らフレデリックの首に腕を回した。引き寄せて耳元に低く囁く。
「そんなに知りたきゃ教えてやってもいいが、その前に俺の面倒を見んのが先だろう。お前がいねぇと不便で仕方がねぇんだよ」
「まったく…キミは本当に僕を誘惑するのが上手いね。いいだろう、今回だけは乗ってあげるよ。僕を誘惑するからには、相応の覚悟はできているんだろうね?」
そう言って嗤うフレデリックが、壮絶な色香を放つ。あっという間に辰巳の服を剥ぎ取って、その首筋に噛みついた。
押し倒すフレデリックの黒いネクタイを、武骨な指先が解く。するりと襟元から抜き取ったネクタイを辰巳の手から奪い去ったフレデリックの口許に、愉しそうな笑みが浮かんだ。
抵抗する間もなく辰巳の両手首を縛り上げて、フレデリックが満足そうに見下ろしてくる。
「お前な…」
「僕を…誘惑したいんだろう? これくらいで済むと思わない方がいい」
ぞくりと、辰巳の背筋を悪寒にも似た快感が走る。本当に、どうしようもない躰になってしまったものだと、そう思う。こうしてフレデリックと肌を重ねる度に、辰巳は躰を作り替えられていくのだ。
諦めたように首を振って、辰巳は自由にならない腕をフレデリックへと伸ばした。上着のボタンを、ひとつひとつ外していく。両手で丁寧に外しているようにも見えるその様を、フレデリックがうっとりと眺めていた。
辰巳がボタンを外した上着をフレデリックが脱ぎ捨てる。その視線が、次は何をしてくれるのだと語っていた。
武骨な指先が、シャツのボタンを外しにかかる。
「いいね。脱がされるだけでゾクゾクしてくる」
「変態が」
「その変態を、辰巳は自由を奪われてまで誘惑しなきゃならない訳だ。キミは…どれだけ優しいんだろうね」
「黙れよ。俺が誰を守ろうがお前には関係ねぇだろう」
どうせフレデリックは、辰巳が誰を庇っているのかなどお見通しだろう。辰巳がフレデリックから庇う人間は限られる。
立ち上がりシャツを脱ぎ捨てたフレデリックが、辰巳の腕を引く。座らされて目の前にあるベルトを、辰巳は躊躇なく外した。緩く勃ちあがりかけたフレデリックの中心を、布地を纏わりつかせた手が撫で上げる。
「ねえ辰巳…キミはいったい、どの程度の隠し事を僕にしてるのかな?」
「さあな。ただの時間稼ぎだよ」
「それは…キミが苦手な事をしてでも稼がなきゃならない程大切な時間という訳かい?」
「お前が望むなら」
そう言って、フレデリックの返事を聞くことなく辰巳は目の前にある屹立を口に含んだ。頭上から愉しそうな笑い声が降ってくる。
「辰巳…僕を見て…」
フレデリックに言われるがまま、辰巳はその視線をゆらりと上げた。黒く艶やかな前髪を、フレデリックの長い指先が掻き上げる。
視線を絡み合わせたまま、辰巳は喉の奥でフレデリックを締め上げた。大きく開けた口からボタボタと滴り落ちる唾液に構うことなく、質量を増した屹立を舌で愛撫する。
「んっ…ぅ、気持ち…良いね……。さすがに、このまま出したら怒られるのかな?」
クスクスと笑いを零すフレデリックの意地の悪さに、黒い瞳が強い光を放つ。辰巳が口での奉仕をするのは、長い付き合いの中でもこれが二度目の事である。フレデリックはそれを承知の上で言っているのだろう。
辰巳は、その剛直を口からずるりと引き抜いた。透明な糸が唇とフレデリックを結ぶ。艶やかに濡れた唇が、ゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「どうして欲しいのか言えよ。今なら、聞いてやらなくもねぇ」
「まったく…キミの本気には恐れ入るね。でも残念、僕は…口じゃなくて辰巳のナカに注ぎ込みたい」
「言葉遊びは好きじゃねぇな。はっきり言え」
じろりと睨みあげる辰巳の前に、フレデリックが膝を折る。視線を正面から絡ませてフレデリックが低く嗤った。
「本当に、キミほど僕を理解してる人間はいないね…辰巳」
「知るかよ」
「零さずに飲んでくれる?」
「ああ」
短い答えに微笑んで、再び立ち上がったフレデリックが辰巳の口腔を犯しにかかる。その息苦しさに、辰巳は顔を顰めた。
普段自分がフレデリックにしている事をされるのは、辰巳にとって嫌な事ではない。
フレデリックは、辰巳が与えるものならば苦痛でも何でもいいと言い放つ。それと同じだけのものを、辰巳はフレデリックに返すことができるのか。興味があった。
「ッ…出すよ……辰巳っ…」
喉の奥に熱い飛沫を叩きつけられて辰巳は噎せ返りそうになった。それでも、フレデリックは辰巳などより余程気を遣ってくれている。脈打つように吐き出される体液を、喉を上下させて嚥下する。喉に纏わりつくような感覚は、辰巳には慣れそうにない。
含みきれなかった白濁が口から滴り落ちてもフレデリックは文句を言わなかった。辰巳の目の前に膝をついて、舌で舐め上げる。
「良く、出来ました。…感想は?」
「美味い訳がねぇだろう」
「ははっ、辰巳らしいね」
渋い顔をする辰巳の口腔にフレデリックの舌が入り込んだ。まるで自分の味を味わうように口内を舌で舐って、フレデリックが満足そうに微笑む。
「はっ…あ…っ、キミから僕の味がするなんて、最高だね」
「お前…本当に変態だよな…」
「そうかな? 辰巳だって、縛られて口を犯されるのは気持ち良かったんじゃないのかい?」
するりと下肢を撫で上げられて、辰巳が息を詰める。言い訳があるのならしてみろと、そうフレデリックに視線で告げられているようだった。それが、余計に辰巳の躰を熱くする。
元より辰巳は快楽に貪欲だ。気持ち良くなれるのならばなんでもいい。例えそれが、恥辱だろうと凌辱だろうと構わないのである。
但し、その口から出るのは本音だ。そこに自分が含まれると理解していたとしても。
「縛られるのでも犯されるのでも何でも構わねぇよ。お前の全部を寄越せ」
「なら、時間を稼ぎたいキミのために…じっくり時間をかけて僕を味わわせてあげるよ」
そう言って、フレデリックは宣言通り時間をかけて辰巳に快楽を与えたのだった。
深夜、フレデリックの携帯電話が着信を告げた。ベッドサイドの小さなテーブルにあるそれにフレデリックが手を伸ばせば、腕の中で辰巳が小さな喘ぎをあげる。未だナカに飲み込まされたまま急に揺さぶられ、落ちかけていた意識を引き戻された。
「っぅ…ぁ…」
「気持ち良いかい?」
「も…抜けよ…」
「そうだねぇ…そろそろ、キミの時間稼ぎも必要がなくなったみたいだしね」
そう言って、フレデリックは未だ鳴動する携帯の通話ボタンを押した。スピーカーに設定したそれを枕元に放り投げる。
「やあクリス。こんな時間にわざわざ電話してくるなんて、そんなに辰巳が心配だったのかい?」
『はあ? わざわざお前が動かずに済むようにしてやったってのにその言い草か』
「そんなものは当然だね。辰巳が引き止めるから僕は動けないだけで、別にキミのためじゃない。むしろキミは辰巳にお礼を言うべき立場だろう?」
ねえ辰巳? と、そう言ってフレデリックは辰巳の躰を揺すり上げた。
「ぅあ…っぅ」
嬌声を、辰巳は堪えることが出来なかった。回線が繋がったまままの電話がすぐそばにある。スピーカーの先でクリストファーが息を詰める気配があって、辰巳は頭を振った。
辰巳が黒いネクタイに拘束されたままの両手を口許に運べば、フレデリックが嗤いながらその手を頭上に縫い付ける。
「さあクリス、辰巳にお礼を言うといい。キミのために、辰巳は今まで僕を引き留めていたんだからね」
『……マジかよ…』
愕然としたようなクリストファーの声にフレデリックがクスクスと笑う。ゆっくりと辰巳のナカを抉りながら、フレデリックは艶やかな声で囁いてみせる。
「クリス、辰巳にお礼を言うなら早くした方がいい。それとも、キミも辰巳の嬌声が聞きたいのかな?」
「ふっ…ぁ、…ぁッ」
『はぁー…参ったね。性癖までお前ら一緒かよ…ったく勘弁してくれ。用件がわかってんならもう切るぞ』
「うん? 僕は、何もまだ聞いてないんだけどな」
『辰巳に傷を作った相手の話だよ。お前が動かなかったおかげで俺の仕事は無事片付いたって訳だ。処分はもう済んでる。じゃあな』
通話の切れたスピーカーから規則的な電子音が聞こえて、やがて電話は沈黙した。フレデリックが、クスリと笑って辰巳の下肢を撫で上げる。しっかりと熱を取り戻した屹立を握り込んで耳元に囁いた。
「変態…」
「っあ…あぁ…ッ」
「本当に、キミは僕を誘惑するのが上手いね…辰巳?」
愉しそうに嗤うフレデリックは、そう言って再び辰巳を淫楽の海へと沈めていった。
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