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第3話

研修医二日目の朝、永井が起きると、夏希からメールが来ていた。     『おはよー(^_^)   昨日は、ごめんね。   まーくんから、電話なんて、珍しいからびっくりしちゃったよ。でも、嬉しかったな。今晩、電話してもいい?   でわ、お仕事がんばってねヽ(`▽´)/』    『おはよう。   帰ったら、こっちから電話するよ。夏希も単位を落とさない程度にがんばれよ。   くれぐれも飲みすぎには注意しろよ。先生は、それが心配だよ』  永井は、早速返信した。。  離れる前は、メールを読んでもすぐには返さなかったのに離れてみて気付く愛しさとでもいうんだろうか。永井は、一人暮らしを始めてから、夏希からのメールをすぐに返すようになっていた。  「あ…」 永井は、家から駅まで歩いてる途中、小木に連絡先を教えることを忘れていたことに気付いた。携帯を取り出し、自分の携帯番号を入れたメールを送った。  すぐに小木から返信があり、永井は小木と乗り換え駅のホームで待ち合わせることになった。  「おはようございます」 「おはよう。メールありがとね」 永井と小木はほとんど同じくらいにホームについた。  小木は、朝の爽やかさに相応しい笑みを永井に向ける。 「いえ。」 「昨日のことがあるからね。一緒に行った方がいいだろうと思ってさ」 「そんな。心配される年でもないですよ。昔からたまに遭ってたことなんで、慣れてしまいましたし」 「慣れるほど遭ってたのかぁ。…それは、許せないな。」  小木の穏やかな瞳が一瞬だけ光った。 「小木さん?」 「ん?いやね。そんなことするやつは、許せないなと思ってさ」 怪訝な顔で見つめる永井に小木は、いつもの笑顔を永井に向けた。  永井と小木は、小木が日勤の時は、待ち合わせをし、一緒に行くことになった。永井は、小木の親切が嬉しくもあったが、小木の永井を見るときの視線には、なぜか戸惑いを感じていた。  話している間中、じっと小木は永井の目を見ているのだ。端整な顔立ちのせいか妙にどきどきしてしまっていた。  平静を装いつつ永井は、小木と接しているが、小木は永井の戸惑いに気付き、心の中でニヤリと笑っていた。  「そうだ。永井くん、今度落ち着いたら呑みに行こうか?」  エレベータでの別れ際、小木が言う。 「そうですね。落ち着けばの話ですが…」 「残念。しかたないね。時間があれば彼女といたいのも無理はないからね。またね…」 残念といいながらも口元には、完璧な笑顔を残し、昨日と同じように小木は口元で軽く手を振りながら、六階へと降りていった。永井は、曖昧に笑いながら、小木と別れた。  

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