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第39話

ガタガタ。突如、ドアの向こうから、物音がし、小木は一旦手を止めた。  「見てくるから、つらかったら、ひとりでしてていいよ」 小木は、永井をひとり置き去りにしベッドから降りた。 そして、小木がドアに近づいた時、乱暴にドアが開けられた。 「!?」 バキッ。風のように入ってきた侵入者が、小木の頬に一発パンチを見舞った。 侵入者の正体は、一条だった。 永井は、吐息がもれそうになる口を抑え、じわじわと押し寄せる快楽の波に耐えながらも上体を起こして、その光景に目を見張った。 一条は、間髪いれずに2発目を小木の頬にいれようとするが、すぐに反応し自分に向かってきた一条の手首を片手で抑え、逆に一条の頬をバキっという音とともに殴った。 一条は、一瞬ふらつくがそれに耐える。 彼の口元から血が伝う。 「誰かと思えば、一条先生でしたか?いいんですか?抵抗すると大事なその手折りますよ。」 手首を掴んだ手にぎりぎりと力を込める。 「折られるのは、困るが、俺の大事なものを返してもらわないとなっ!」 「ぐぇっ!!」 表情ひとつ変えず一条は、永井を見やってから小木の鳩尾に膝蹴りをくらわせた。 うまくそれが入り、小木の身体は、呻き声と共に後ろへと飛んだ。 そして、パソコンが置いてある机の椅子に頭を強かにぶつけ、椅子を背にしぐったりと項垂れたまま、動かなくなってしまった。 出血は、見えない。 「おい!?」 一条が、咄嗟に駆け寄り、脈や呼吸を確認する。 「安心しろ。気を失ってるだけだ。」 「よかった。でも、どうして、先生がここに?」 「その話はあとでする!画像は、全部こいつの仕業だったんだろ?俺が、お前に関する画像を全部探して消去しとくから、お前は、今のうちに逃げろ!」 「俺も一緒に探します。先生を置いて、逃げる事なんてできませんよ。元々は、俺が蒔いた種です。」 「ああ。分かった。その前にお前はいつでも逃げられるように荷物をこっちにもってきとけ」 「分かりました。あ、データは、ひとつは、パソコンの中にはいってます。デジカメに入ってた画像は消しました。あとは…これから、ききだすところだったのですが…ぁ…」 永井は、一条に異変に気づかれないようにベッドから降りようとしたが、衣服が肌を擦る感触に思わず声が漏れてしまった。 「どうした?」 一条は、小木の机の引き出しを物色し、結束バンドを見つけるとそれで小木の手首を後で交差させ親指同士を結束バンドで止めながら聞く。 「な、なんでもないです!俺のことよりもデータを!」 手で口を押さえながら、もう一方で股間を隠しながら、永井は部屋を出て行った。  永井の様子に一条は、疑問を持ちつつもパソコンを起動する。そして、すぐにそれらしき画像を発見し、クリックしてみた。 それは、研修医室で永井に薬をぬってやっときの動画だった。真上から、撮られているみたいだ。 「こいつは、こんなのも撮っていたのか…。他にもあるな」 憎憎しげに呟き、それを消去する。もうひとつのフォルダをクリックすると、それは、ロッカーで永井の着替えだけを編集した動画ものだった。 すぐにそれも無言のまま消去した。  「少なくともこれらの大元があるはずだ。他にも永井に送っていたやつもあるはず。早く探さねば。」  それらしきパソコン内のファイルを起動させてみる。が、男を撮った卑猥な隠し撮り画像はあるが、永井が映っているものはない。 机においてある三枚のCD-Rを一枚ずつ再生してみる。  一方リビングに行った永井は、ケーシーの入った紙袋と自分が脱いだ上着と靴下とバックを手にし、部屋に戻ろうとしていた。 しかし、できるだけ衣服が肌を擦らないように気をつけてはいるものの意識すればするほど、身体は僅かに服が肌に擦れるだけで、反応してしまうのだった。 「はぁはぁはぁ」 早く部屋に戻り合流しなければいけないのは分かっているが、永井は部屋に戻る前に息も切れ切れにトイレに駆け込んだ。そして、荷物を下ろし、スラックスのベルトをはずし、ジッパーを下ろすと、自身を解放し、何度も放射したはずの液を放出させた。 便座に座り荒い息を吐きながら、トイレットペーパーでそれふき取る。 「はぁ…ぃかなきゃ……っ…ぁ………。」 壁に手をついて立ち上り下着を履き、スラックスをはきなおすが、ベタベタとしていてなんとも言えない気持悪さだ。 だが、不快感すらも下半身は、すぐに新たな快感と認識し、すぐに元気を取り戻した。 「…今のを出したら、いか…ないと…ぉ…」 再度トイレットペーパーを手に取り、永井はスラックスのジッパーを下ろすと本日十何回目とも知れない液を放出した。   何度もの射精は、永井の体力を奪っていった。 永井は、壁伝いに部屋に戻り、声を掛けた。 「画像、どうなりました?」 「パソコンに入ってるやつは、おそらく消せただろう。あいつ、研修医室を盗撮してたみたいだな。」 一条が、永井を見る事なく机の引き出しを物色しながら答える。永井は壁伝いに一条に近づき、壁に凭れたまま平静をできる限り装う。 「そうみたいですね」 「知ってたのか。」 「俺、せめて先生が映ってるのだけでも消そうと思って…。これ、見られたら、先生の立場悪くなると思ったので。小木さんに聞き出そうとしたのですが…。」 「だから、お前は小木に抱かれようとしたのか。」 「はい。でも、そもそもここに来たのは、俺の中にあった疑問を解決するためと前に忘れたケーシーを返してもらうためだったのですけどね。まさかこんなに色んな画像があるとは思いませんでしたけど。」 「お前ってやつは…」 苦笑いを浮かべ、漸く一条は永井を振り向き、 「おい!どうした?」 永井が先程よりもシャツが乱れ、立っているのも覚束ない様子でいる事に気づき、永井の両肩を掴んだ。 「先生、俺に触らないで下さい!!」 永井の肩に触れた時、下半身に電撃が走った。反射的に永井は、一条の手を払いのけ後ずさりしたが、足がもつれその場で尻餅をついた。 無防備に脚が開きその間から、スラックスに染みが広がっていく様を一条は見てしまった。 「あ、あ、あ、これは違うんです!!俺の事よりも早く捜索を再開してください!!」 「そうはいくか!!お前、あいつに何かされたのか?」 一条は、一喝し、永井の瞳を食い入るように見つめた。 「…催淫剤らしいです。動脈注射されました。二時間ほどで切れるらしいので、我慢しますので、俺は大丈夫です。」 「くそっ!小木のやつ!!」 痛々しい笑顔を一条に向けると、一条は、怒りを露にした様子で、ベッドを思いっきり蹴った。すると、ベッドにおいていた黒いケースが、一条の側に落ちた。  「先生、それ!そのなか見てみてください」 永井が、ひらめき、興奮したように一条に叫んだ

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