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第45話※

 「さて、後ろを向いて貰おうか」 「……」 一条がゾクッとするくらい低い声で言い放つ。 「怖いか?」 「……」 黙ったままの永井に一条が、念を押すように聞く。永井は、かぶりを振り、後ろを向いてシンクの端を掴んだ。背後にひとがいるのにもかかわらず、永井の中に恐怖心は消えていた。 「そうか…それなら、これを舐めろ」 一条は、永井の耳朶に口唇を寄せ、吐息混じりの声を注ぎこむ。そして、永井の口に自分の右の中指と人差し指を押し込めた。 「んんっ…」 言われるまま永井はそれらを丹念に舐めあげる。 「そう。なかなかうまいな」 一条は、永井のうなじに舌を這わせいくつかキスの烙印を落とし、左手で両乳首をこねくり回す。 一条が触れる場所すべてが、熱く灼けていくようで、声を出しそうになるが、永井は指を舐めることに集中した。  クチャチュパ。互いが奏でる唾液の音が、互いの官能を刺激する。 やがて一条の指に永井の唾液が滴るくらいになると、彼は指を永井の口から抜いた。 「尻を突き出して、力抜け」 「はあ…」 言われるまま永井は、少し足を開いて小さな尻を一条に突き出した。一条は、永井の腰を掴み背中にキスの烙印を落としながら、彼の尻の穴にそれをゆっくりと挿れた。永井は、口を塞いでいたものが、なくなり、堪えていた声を漏らす。 内臓を抉られるような異物感はあるが、嫌な感じはしない。むしろもっともっととねだってしまいたいくらいに愛しい。 自然とぎゅっぎゅっと逃さないように一条の指を締付けてしまう。 「まだ…指くらいでそんなに締付けんな。」 「でもぉ…」 腰をくゆらせ、掠れた甘い声を発する。 「でも、なんだ?」 腰を掴んでた手を永井自身には触れないように彼の内腿を撫で上げる。さらさらとしていながらも手に纏わりつくような肌の感触が、たまらない。永井は、自身には触れてくれないその手がもどかしく、苦しさを感じ始めていた。 「先生っ…そこじゃなくて…」 「じゃなくて?」 「言ってくれなきゃ分からないだろ?どうすればいい?」 「俺のモノにまた触って欲しいです。それと指ではなくて、先生が欲しい…です」 言ってみてから、永井の顔中がかぁっと火照っていく。 「そう。」  一条は、短くいい、指を引き抜いてから自分のスラックスのベルトをはずし、ジッパーをおろし、勃っている自身を取り出した。元々立派なそれは、怒張し迫力が増している。 「いくぞ」 「うっ…ぁ…」 凄みのある声をあげ、永井の腰を掴み、自身を彼の中へ押し入れた。永井は、指とは違う大きなモノのに痛みを感じ、うめき声をあげるが、奥へ奥へとそれが入っていくにつれ、一条とつながっているという悦びが、湧き上がっていく。 「ああぁ…うぅ…」 「おま…そんなに締め付けんな。くぅ…まだ奥まで挿れてないのにでちまうだろ」 「はぁ…」 一条は、眉間に皺を寄せ、永井が自身を締め付ける気持ちよさとそれを我慢しなければいけない苦しさに耐える。 男を経験したのはもちろんコレが初めてだが、医師である以上、前立腺の場所は、熟知している。そこが男の快感スポットだというのは、人づてに聞いただけなのだが…。 「はっはっ…」 「ああぁ…」 奥まで着くと一条は、永井自身を握り、上下に扱きながら、腰を動かしはじめた。永井もそれにあわせ、腰を動かそうとするが、後ろと前の刺激にしだいに頭が白くなっていくほど、飲まれていく。永井に一条も自身を締め付けられ、今までに感じたことのない悦楽を感じていた。  「あああぅ…先生っっあいして…ますっ…」 「くっ雅哉っ……愛してるっっ…はぁ…」 やがて、切羽詰った声をあげ、ふたりは、同時に達した。 ベッドが、二人の吐息に合わせて軋む。  逞しい身体を晒した一条の背筋に爪を立て、彼の膝の上で、永井の身体が踊る。一条は、永井の細腰を押さえ込み、律動を繰り返す。 「あっあっ…」 容赦のない突き上げに永井は、髪を振り乱し、背をしならせ、喘ぎ声をあげる。白い肌には赤い跡がいくつかちりばめられ、その姿は、淫蕩で、一条の劣情をより煽っている。 「はぁ…くっ…」 一条は、唸り声をあげると、永井の身体から自身を引き抜き、欲望の丈を永井の身体に放出した。 「悪いな。身体汚したな」 「いえ。…あうっ」 一条が、永井の胸についた自分が吐き出したものを舌で舐め上げると、永井は声を漏らした。 その声が合図であるかのように再び一条は、永井の身体をそのままベッドに沈めた。

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