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第8話
翠side
この人歩くの遅っ……。いや、僕が元々遅いから、いつも友達に置いていかれるのに一緒のペースで歩いてるって…。
そんな事を思いながら歩いていると、家が見えて来た。
「ここで、大丈夫…」
「そお?気をつけてな」
「ありがとうございました…。お礼したいので連絡先聞いてもいいですか?」
「おう。これな。……出来たか?」
「はい」
「……同い年か…。タメでいいからな。じゃ、帰るわ」
そう言って歩き出してた彼はすぐに見えなくなった……。
(え?歩くの早くない!?)
さっきは、僕に合わせてくれていたんだと知って、凄く紳士的な人だなと思う。クール系で紳士的なんて、きっと彼女とか……。
(はぁ…、やめよ……。考えると辛くなるし…)
顔も結構タイプだったし、格好よくて、紳士的な人…。あんな人を恋人に出来たら良いのに…。彼の恋愛対象は可愛い女の子なんだろうな…。
僕みたいな女装男子なんて、恋愛対象外だよな…。今までだってそれで傷ついてきたのに……。また期待しそうで、そんな自分が憎かった。
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