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第6話

「大丈夫か?」 近くの公園のベンチに腰掛けた俺に買ってきたペットボトルのお茶を差し出しながら慎吾が聞く。 「あぁ迷惑かけてごめん」 受け取ったペットボトルの蓋を開けようとする手が震えてうまく開かない。 「本当に何があったんだ?」 俺の手からペットボトルを取ると蓋を開けて俺の手に戻しながら慎吾が隣に腰掛けた。 「……五十嵐……さん……が……兄さんの知り合いだった……」 長い沈黙の後、震える声で話す俺に何かを察したのか慎吾は何も言わなかった。 慎吾には何も話していない。兄さんのことは何も。 ただ全寮制の高校に入り3年間同室だった慎吾は帰省しなかった俺も知っているわけで、何か感じるところがあったんだと思う。 俺が落ち着くまで慎吾は何も言わずそばにいてくれた。 それが俺にはとてもありがたく、いつか……いつか話せる時がきたら話したい。そう思えるくらい慎吾のことを信頼している自分に少し驚いた。

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