17 / 83
第17話
ふっと気が付いてゆっくり目を開けると、慎吾の背中が視界に入る。
「慎吾」
掠れる声とカーテンの隙間から差し込む太陽の光に朝になっていることを知る。
「起きたのか」
ベッドに背を預けていた慎吾が後ろに首を傾けて俺を見た。
「何時?」
ゆっくりと体を起こし、まだ少し痛む頭を押さえる俺に8時過ぎと慎吾が応えた。
「あ~俺今日バイトあるわ」
学校が休みの日曜日はシフトに入れてもらっていた。
「大分腫れはおさまってるな。翔、俺がいない時に思い出そうとすんなよ」
諭すような言い方に、何でと目で訴えた。
「人前で泣き喚きたいなら止めないけど?」
慎吾の言葉に耳まで熱くなった。
「――なっ!」
実際そうだったけど!泣き喚くって、もっと言い方ねぇのかよっ。
言葉に詰まった俺に慎吾が満足そうな笑みを浮かべていた。
ともだちにシェアしよう!