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第11話

───その夜 俺は早速、部長に誘われた。 『さあ、泉くん。どうぞ。』 『……ほわあぁぁ……すげー…』 ここは…… 夜景の見える超高層ビル最上階のスペイン料理の店。 場所や見た目からして ものすごく高そうな店なのに 通されたのは 1番奥の一段下がった所にある ちょっとした個室のようになっている席だった。 『………すげー……』 料理も当然ながら美味しい。 昼に、素うどん半分 食べるのがやっとなくらい 最悪な気分だったのに…部長を前にすると そんなのどうでもよくなってしまう。 『美味しいかい?』 『……、は、はいっ…////』 生ハムもパエリアも今まで自分が食べてきたのとは まったく比べ物にならない。 これが本場の味ってヤツなんだな… すごいなぁ… 『そろそろデザートにしようか。』 『………///// は、はいっ…/////』 あああ…//// 笑顔が眩しい……//// 部長は…今日もカッコいい……//// ☆ 『ご、ごちそうさまでしたっ////  すっごく美味しかったですっ////!!』 『はは。それはよかった。  気に入ってもらえて僕も嬉しいよ。』 『………は、はい…////』 『ここに………連れて来たかったんだよねぇ。』 『…………は……、……は……い………』 「梶くんを。」 言葉にしなかった部長の言葉を察して 少し……ほんの少し 胸がチクッと傷んだ。 『じゃあ、そろそろ出ようか。』 『…………はい……』 そうだ。 そうだった。 俺は梶の代わり…… これは部長が梶にしたいコト。 俺に、じゃない。 勘違いしちゃ……ダメだ……… 『ありがとうございました。』 お店の人に見送られ、 エレベーターに乗りこむ。 扉が閉まると同時に後ろから ギュッと抱きしめられた。 『…………っ?!……あっ、あの…っ…//////』 『シーッ。じっとして……』 『…………っ…っっ/////』 あああ…っっ//// うあああっ//// ち、近いっっ///// 近いぃぃぃっっ///// 『あ、あの……っ…あの…っ/////』 『シー。』 『………っ…//////』 あああ……///// 耳に息を吹き掛けられて、 カクン…と、膝から 力が抜けた。 『ふふ。可愛いね♡』 『………ふっ、ぅうん…っ/////』 ………っ!! あ、ヤバ…… へ、変な声……出た……っ///// 『……………』 『……っ…/////』 抱きしめる部長の腕に さらに 力がこもる。 『ふふ。やっぱり……キミは可愛いね……』 『………っ…あ…あの……い、今のは………っ、  く、くすぐったくっ……、っっ////!!』 ふと、耳と こめかみに温かい ” 何か ” が 触れた。 『──────っ、……っ……っっ//////』 その ” 何か ” が 部長の唇……で その ” 唇 ” が 俺の耳と こめかみに触れた…… と、いうコトは………… 俺は……今…… 部長に…キ、キス…された……!? そう、理解した途端、今度は…… ガックン ───と、腰が抜けた。

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