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第12話
『大丈夫かい?』
『………は、はい…/////』
腰が抜けて、ふにゃふにゃになった俺を
部長は エレベーターからタクシーまで
支えて歩いてくれた。
う……////
は、恥ずかしい…/////
『す、すみません…////』
きっと、大の男を支えて歩いた部長も
恥ずかしかったハズ……////
『ん?いいんだよ。
キミをそんな風にしたのは僕だし…ね?』
部長は 楽しそうに クスクス笑って
俺を抱き寄せた。
『っっ/////』
タクシーの座席で密着……////
逃げ場がない中で
部長の右手は腰を
左手は 太ももを やわやわ撫でていて……
『……………//////』
顔から、というより
全身から火が出そうなくらい…熱い。
え……/////
えーと……/////
キ、キスされた…ってコトは………
…そ、その先………////も あるってコト……
なの………かな……???
噂では……部長って 手が早いって
言われてる人…だし……////
か、梶にも当然……そうゆうコトしたいって
思ってる……だろうし……/////
梶にしたいコト…
ここで、キスより先を求められたら……
俺は………
俺は どうしたら………
どうしたら、も ないか。
俺は、梶の代わり。
梶を守るために
代わりを引き受けたんだから
俺に選択権は……ない………
体とは裏腹に冷たく冷めてゆく心。
どうにも たまらなくなって
ギュッと目を閉じて
何も考えないように心にフタをした。
『着いたよ。』
部長の言葉に、ハッと我にかえる。
『……は、はい…………………、あれ?』
き、きた……っ!!
どこだ?
どこのホテルだ??
───と、顔を上げたのだけど
着いたという、その場所は…………
『あ、あの……ここって……』
『ん?キミのアパートだよ?』
『………………です…ね……』
そう。
俺のアパート。
見慣れた、築15年の
オンボロアパート…である。
………え?
………あれ?
………なんでウチに??
………え?
………あれ?
ま、まさか…ウ、ウチで!?
ウチで……ス、スるの……か???
………あ!
ま、待って…??
ウ、ウチって今…キレイだっけ??
いや、つーか
部長をウチのボロアパートに!?
いや…!いやいや!
ないっ!ないないっっ!!
ダメだろ、それはっっ!!!
『あ、あの…っ、ぶ、ぶちょー…っ…』
『うん。おやすみ。またね♪』
『は、はいっっ!
ウチは、その…っ、ボロ……ボ………………ん?
え…?ま、また…………?』
『うん。今日はとても楽しかった。ありがとう。』
部長が言い終わると、タイミングよく
タクシーのドアが開いて…
俺は 慌てて外に飛び出した。
『じゃあね。』
『…………あ、は、はい!ありがとうございました!
おやすみなさいっ!!』
まだ呆然としつつも、しっかり頭を下げ
タクシーが消えるまで 下げ続けた。
『…………………』
ああ………
行っちゃった………
帰っちゃった…………
『…………………』
あああ……っっっ////!
もー!俺のバカッッ////
俺ってば…もーっっ/////!
とんだ勘違いヤローじゃんっ/////
あああ……////
もうっ…////
もうぅっっ/////
でも…残念だけど……ちょっとホッとした……
でも……
でもでも………
ホッとしたけど なんか残念ーっっ!!!
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