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第14話
そんなワケで週末の終業後
合コンのセッティングをどうするか、
梶と話していたのだけど……
俺は、ここ数日、部長からの連絡が
まったくなくなったコトに
そわそわ落ち着かない気持ちでいた。
いつもなら、お誘いはなくても
メールは毎日きてたのに……
どうしたんだろ?
今日は金曜日だし
連絡くるかも………
とか、梶と話ながらも
スマホが気になって仕方ない。
早く、合コンの日にち決めて
俺から電話してみようかな……
とはいえ、誘ってきた梶が合コンに
乗り気じゃなくて なかなか話が進まないのだ。
『俺さぁ、彼女と別れてから思うんだけど
女って……めんどくさいよなー。』
『…………え?』
『なんか、ネチネチ ネチネチ しつこいし。
何年も前のコト、グチグチ言い出すしさー。
なんか次は女より男とつきあってみよっかなー
とか思ったりするんだよな。』
『…………………は?…お、おと……こ……と?
……はあっ!?えええ?!』
ちょ、ちょっと待てぇぇーっっ!!!
なんだ、
いきなりの方向転換はっっ!!
『い、いや……お前……よく考えろよ……
お、男と……なんて……そんな……』
『えー?別によくねぇ?
俺、性別とか あんま気にしないしさ。』
『………え、えぇぇ……?』
そ、そうなの!?
え、そうなの!?
お前……
どんだけ自由なのっっ!?
お前が そんなんだと…
俺が部長を止める意味、なくなっちゃうじゃん!
『……っつうかさ、なんで俺が急に
こんなコト言い出したかって言うとさー。
………引くなよ?
実は、俺さ………ちょーっと気になってる人が
いるんだよねー♪』
『…………え。そ、そうなの…?お、男の…人…で?』
『うん、そう。男の人で。
彼女と別れてから声かけられてさー。
何回か会ってるんだよねー。』
『………………………え?』
なんか……
なんだろう………
イヤな予感が……する………
『あの……それ……だ、誰か……聞いてもいい?』
『えー?聞いちゃう??
結構 年上なんだけど……引くなよ?』
………年上……
年上の…男の人………?
梶が彼女と別れてから
連絡がなくなった俺……と
会い始めた梶………
それって…まさか………
『だ、誰………?』
『ん?んー……、まあ、泉なら いっか。
……白川部長だよ。システム開発部の。知ってる?』
『…………っ……!!』
や、やっぱり………!
部長………だ……っ!
『あ、会ってるんだ………』
『うん。まあ、まだ2回?3回?くらいだけど。』
『……ふ、ふーん……そう…なんだ………』
『うん…って、あれ?顔色悪いぞ?
……あ、もしかして…引いた??』
『…………う、ううん…引いてない…よ…』
そっか………
部長と梶が……
そっか……
そっか………
部長は……
梶が彼女と別れたコトを
どこかで聞いて、知ったんだ………
あの時、部長は……
梶は やめてくれ、って
俺の願いを聞いてくれた……
けど
それは…
梶に「結婚を考えてる彼女」がいるからであって
それがなくなれば…… もう……
俺はもう……部長にとって
不必要な人間になるワケで………
そうすると
もう、俺は……部長とは………
会えなく……なる………ってコト……で………
…………って
違う。
違う、そうじゃない。
部長が俺と会ってるのは
「梶の代わり」で………
部長が好きなのは……俺じゃない。
俺じゃ……ない。
俺じゃなかったんだ………
分かってたのに………
分かってたのに…………
俺は…………バカだ…………………
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