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第4話
-霖雨-
お父さんが理事長室に来てるって聞いて、ボクは久々にお父さんに会いに行った。お父さんはボクを見て、嬉しそうだった。
「深月、また背が伸びたな」
ボクの頭を撫でて、お父さんは目を細める。ボクも嬉しかった。
「はい。2.5cm伸びました」
「おお、偉いぞ」
ボクには決まったお母さんがいないから、お父さんは気を遣ってるみたいで、でもボクはお母さんのことよく知らないから、そんな気にしなくていいことなのにな。
「沢山食べて、沢山眠れ」
ボクの頭をぽんっと叩いて、また次の仕事に行っちゃうみたい。
「お父さん」
「うん…?」
祖父くらい歳が違うお父さんは杖をついて、ゆっくり理事長室から出て行こうとする。十数秒だけの再会で、次はいつ会えるのかも分からない。でも、父親の性 なのかな。一目みたら、満足なの?
「行ってらっしゃい」
「…ああ」
お父さんは暮町さんに手伝われながら理事長室を出て行った。お父さんはボクのことを可愛がってくれる。ボクが何ひとつ不自由なく暮らせるのはお父さんのおかげ。ボクには暮町さんが傍にいるし、染井先生だって面倒看てくれる。美仁先生も遊んでくれるし、秋桜先生だって…寂しいことなんて何もない。何も。理事長室の電気を消して、廊下に出た。お父さんとご飯食べられるのかと思ったけど。お父さんにはいっぱい息子や娘がいるみたいだから、仕方ないのかも。ちょっとまだ、もう少し一緒にいたかったけど、可愛がってもらってるし、いっぱいお金もあるから。廊下を歩いて、ばったり風信くんと鉢合わせる。なんか沈んだカオしてた気がするけど、ボクを見た途端に普段通りの柴犬みたいなカオに戻った。明るい人だな、ほんと。
「今帰りっすか?」
「うん。ちょっと、もう少しだけ居残りしようと思ってるんだけど」
「そうっすか」
これから美仁先生のところに行くなんて別に風信くんに言う必要ないもんね。
「じゃ、ばいばいっす」
いつも上機嫌な風信くんは上機嫌に手を振る。ひらひらと、蝶みたい軽く。
「うん、ばいばい」
ボクの足は玄関には向かわなくて、理科室を目指していた。美仁先生をいじめて遊ぶのがいい。美仁先生が困って悲しめば、ボクは元気になる。困って悲しむだけ美仁先生は綺麗になる。ボクのせいで、ボクのために。
理科室は騒がしかった。激しい物音と話し声が聞こえた。甲高い笑い声みたいなのも混じっていた。パーティーでもしてるの?理科室の防火素材の扉を小さく開けた。色んな声が聞こえた。学校の人たちじゃない集団がいた。奥にお父さんが見えた。みんな何かを取り囲んでるみたいで、床を見下ろしていた。
「ぅ、あ…っ、ぁっ、あ、…」
聞いたことのある声質の苦しそうな悲鳴が聞こえた。ボクの手はいつの間にか理科室のドアを全部開けていた。視線を浴びる。部屋の隅で身構えた暮町さんが威圧的な歩き方でボクのほうに来た。でもお父さんは暮町さんを呼んだ止めた。ボクは楽しそうに取り囲まれた集団の中心を見下ろしていた。池にパンを投げた時の鯉を眺めてるみたいな。
「い、ぁ…ああ、…、」
池に投げられたパンの正体が分かった気がして、でもまだちゃんと目で見てない。
「ぁん……ぅ、ぐ、」
「感度が落ちたな、美仁。儂がおらんでも、相手はしてもらっていたであろ?」
お父さんは鯉が群がるパンに話しかけた。やっぱり美仁先生なんだ。ボディビルダーの太腿くらいありそうな暮町さんの首が左右に揺れて、ボクに来るなと合図するけど、ボクは進んで集団を掻き分ける。全裸に寝かされて、あとは死を待つだけのセミみたいな体勢で男の人に覆い被さられていた。軸を持って揺れている。男の人が下半身を美仁先生の下半身に押し付けて、先生を潰そうとする。
「あ…ぅう…、っあ、あァ…」
「美仁先生」
苦しそうに天井を見上げてた美仁先生がボクに気付いた。濡れた眼球がもっと光って、いきなりつらそうなカオをした。のしかかる男の肩を掴んで、嫌がりはじめた。
「美仁!」
お父さんが先生を叱りつけるみたいに呼んだ。
「あ…あ、い、ァぁ…!」
男の人ががつがつ腰を動かす。下に敷かれてる美仁先生が床の上で摩擦される。泣くのも疲れたって感じの嗄れた悲鳴は、楽しいけど、なんか違った。男の人が美仁先生から剥がれて、無理矢理先生を起こして四つ這いにした。先生の薄い背中には綺麗な絵が描いてあった。ボクの家に飾ってあった絵と同じ。いっぱい尻尾の生えた狐と白くて大きな花。額縁に飾られて大事にされていた絵が、美仁先生の皮膚に入っていた。腰を掴まれて、美仁先生は髪を振り乱す。引き締まった腰に男の人の指が減り込んで、ボクのちんちんがおかしなる。美仁先生に食べてもらわなきゃ。ドクターフィッシュみたいに。
「ぁ、んぁっ…は…、ぁ、あっ」
残像ばかりの美仁先生をボクのちんちんがもっと見たがっていたけど、ボクは嫌だった。
「深月もやってみるか」
お父さんがボクに訊いた。お父さん、ボクを見ていてくれたんだ。
「美仁に、してもらったのだろう?」
「…え?」
お父さんがニヤニヤしていた。美仁先生にちんちん食べられたことっていうのはなんとなく分かった。
「深月、美仁はな、お前さんの新しいお母さんだよ」
男の人に乗られて揺れる先生の裸体がフラッシュを焚かれたみたいに脳裏に焼き付いた。綺麗で長い膝下で男の人の腰を抱き締めて、男の人は速く動いて、いきなり止まったと思ったら、動きが緩んだ。
「ぅんッ、あ…あ…ぁ、」
美仁先生の笑ってるみたいな、泣いてるみたいや苦しそうな声はボクのちんちんが食べられた時みたいにくすぐったいのに息苦しくて、立っているのも疲れちゃった。美仁先生を敷いてる男の人が変わった。力の抜けちゃってる美仁先生の全裸を見ちゃって、落ちていくお尻の綺麗な穴からどろどろとヨーグルトみたいなのが流れ出て、ボクは稲光に似た衝動に襲われた。美仁先生の中でおしっこしていいのはボクだけ。理科室の木製の丸椅子を手に取って暴れた。ちんちんが痛い。破裂しそうだ。でも同時に、ずっと美仁先生に食べられてるみたいな変な感じもあって、他の人に美仁先生が食べられちゃうかと思うと怖くなった。色々な物が壊れたりぶつかったりする音がした。美仁先生にぶつからなければどうだっていい。美仁先生が嫌がって怖がるのはボクだけなんだから。また美仁先生に変なおしっこをしたい考えが浮かんで、止められないおしっこを漏らしそうだった。また膿みたいなおしっこを飲んでほしい。漫画みたいに女の人の腹の中でおしっこをするみたいに、美仁先生の中でぶりぶりしたおしっこしたい。ちんちんが壊れそう。美仁先生のちんちんも食べたい。美仁先生の変なおしっこをかけられたい。舐めたい。困って、ボクに泣いちゃえばいいんだ!
「ああああああ!」
美仁先生がボクのちんちんに呪いをかけて、ボクを壊す気なんだ。
-瑞雨-
風信が何か用っぽくて、俺は風信を探した。お前がお得意の嗅覚で俺を探せよって感じだったがよくよく考えたらアイツは犬じゃなかった。溜息を吐いて怠い身体を引き摺り職員室とかアイツのクラスとか探し回ってはみたけど見つからず、流石に離れたプールや部室棟まで足を運ぶ気にはなれなかった。となれば仲の良い「ヨシタカせんせ~」のところだろう。微かな下心は否めない。でも俺のことみてあいつ怯えちまわねぇかな。風信いるなら大丈夫か。まだ風信いるとは決まってねぇし、あいつがいるのかも分かんねぇけど。階段を上っていると物騒な物音が聞こえて睡眠不足と考えすぎからくる疲れも忘れて急いだ。月下がヒステリック起こしたんじゃないか、なんて思って。だとしたら追い込んだのはきっと俺だ。俺じゃないと困るだけだろ?咲のことならあいつはきっと耐えるなんて、あいつの咲に対しての痛々しいまでの抑圧を買い被りすぎか。
ガラスの割れる音と人の気配がする理科室に飛び込んだ。雄叫びが上がって、頭から血を流してる見ない顔もいれば、力自慢に押さえ込まれているよく知った顔もあった。力自慢が着ぐるみなら2人分は入れそうな深月が床に頭を押し付けられ、腕を後ろに回されて、昔村を壊滅状態にさせたとかいうヒグマみたいな身体がまだ育ちきってないし平均身長ぎりぎりくらいの深月の背中に乗っていた。俺は頭の中が真っ白になったが、深月が呻いて我に帰る。
「ちょっ…おい!深月が潰れるだろうが!」
力自慢に怒鳴りつけて、ビクともしないことなんて体格差からみて一目瞭然だったが勢い余って電柱よりも太い力自慢の意外にも白い腕を叩いた。それから流れで視界の端に入った、寝転がってる肌色に意識が行く。月下だった。体温が一気に氷点下まで下がっていくような気がして、俺は慌ててシャツを脱いで助け起こした月下の素肌にかけた。
「大丈夫か、あんた…」
シャツ越しに背中を撫で摩る。悔しそうに歪んだ顔をみて、またやっちまったと思った。
「帰るとするか」
クソ理事長 もいたらしかった。月下の真後ろに杖を立てて偉そうに踏ん反り返っている。
「深月を頼むとしよう」
じいさんは手で合図をして、力自慢以外の取り巻きはぞろぞろと理科室を出て行った。腕を摩っている奴や、頭から流血している奴がいたが、何事もなく理科室は静寂に包まれる。
「…ヤエサン」
一番先に口を開くのが一番口数の少なげな力自慢とは思わなかった。月下の傍にに膝をついている俺は力自慢を見上げた。円らな目が俺を捉えた。深月を床に突き飛ばすように腕を離して、巨体も親分の後を追って出て行ってしまった。深月は床に寝転がって、起きる気配がなかった。首を折られたんじゃないかと半ば焦りながら深月へ這った。
「おい、深月!」
深月は寝返りをうって俺を見上げた。何が気に入らないのか、深月はぐしゃって感じで鼻筋に皺を寄せた。
「動けるな?」
返答も反応もない。訳の分からないヤツだ。暴れたのはコイツで間違いないみたいだが、じじいも冷たいことだ。息子としては可愛いみたいだが、ただ手前のガキというだけ。あとはどうでもいいのだろう。
「保健室にいるからな」
近くに投げ捨てられていた月下の服を着させて理科室から連れ出す。だが理科室を出た途端に掴んだ腕を振り払われる。
「いいです、帰りますから…」
月下は内股気味の、捻挫したみたいな歩きづらそうな足取りで俺を置いて1人で行こうとする。
「深月に保健室行くって言っちまった」
「貴方が1人でいればいいでしょう…」
俺が黙っていると、律儀にこいつは返事を待っているみたいだったが怯えてもいた。
「月下?」
「なんですか」
「色々と悪かったな。一方的に気持ちを押し付け過ぎた」
「…貴方が謝ることではありません」
足を引き摺っているわけではないが、歩き方がやっぱりぎこちない。
「階段、気を付けろよ。…肩、使え。転んだら怖ぇ」
「大丈夫です」
膝が、股関節か、もしくは腰に気を遣っているような不自然な歩き方のまま階段を下りようとしするもんだから、俺は気が気じゃない。
「大丈夫じゃねぇよ。危ねぇ」
「大丈夫です!私を馬鹿にして…!」
手摺に縋りながら降りていく月下に合わせて俺も遅れながら一段一段降りていった。それが気に入らなかったのか、濡れた目で睨まれる。
「勘違いすんなよ。馬鹿にしてるとか同情してるとか心配してるとかじゃねぇ。好きなやつに怪我してほしくねぇ。それだけ」
月下は立ち止まった。またこいつに背負わせて押し付けるみたいなことを言っちまう。知ってほしい、届いてほしい、伝えたい。それが先走ってんだ。
「俺のエゴだ、気にすんな」
月下を置いて数段先を下りる。1人にしておきたい。でも置いていけなかった。1人で泣かせたくない。2人でいれば、こいつは涙を耐えるのに?理解しろ、自覚しろ、俺は嫌われてるんだ。お前の前であいつは泣かないし、お前に甘えることはない。お前の前ではすべて屈辱なんだ。いくら好意を伝えたところで。
「美仁先生!」
無邪気なガキになれたら。深月が俺たちを見下ろして、俺は深月へ雑に手を振り、あいつを任せた。俺のペースで階段を下りる。ヤニでも吸うか、考えるだけ泥沼みたいで、だが答えてはもう出ちまってて、結局何時間考えて理屈捏ねたってあいつを諦められやしない。何度同じことを考えて、決まっちってる答えを覆そうとする?むしろ考えなきゃ這い出られたかも分からない感情にどんどん深みに嵌ってないか?ままならない。あいつの涙で堕ちて、あいつの涙は見たくない。難儀だ。嫌味で神経質な男の皮を剥がせば、俺と意味が違うが同じ男に惚れていた、タフで無防備なやつだった。俺を嫌がって、案外根底は似てるのかも分からない。俺にだけ、怒ったらいい。感情をみせたらいい。俺にだけ素直になったらいい。他のやつらにイイ顔してたいなら。俺が咲の陰になる。太陽みたいなアイツの。月みたいなあいつの夜になる。なんて、そんな遠い惑星になんてなりたくないな。もっと近くていい。傍で、隣で。近くにあるなんて錯覚じゃだめだ。触れて、抱き締めて、ちゃんと言わなきゃならないんだ。
「八重せんせ…」
階段下に風信がいた。少しびっくりした様子で不安げな表情はあまり似合わない。あいつは仲の良いコイツにも感情を見せないんだろうか。コイツは生徒だし、人を怒らせるタイプでもない。自然に人の懐に入り込めるヤツだ。そういうポジションも、いいけどな。俺には俺の役割があるなんてのは、前向き過ぎるか?俺だけに怒って、俺だけを拒んで、俺だけになら笑顔なんて作らなくていい。好かれてなくても?発散くらいにはなるだろ。いやいや、もっと欲を持てって俺。すっかり風信を忘れて、ヤツの校則ギリギリの明るめな茶髪に手を置いた。
「何か用があったんだっけか」
「いえ…八重せんせ~は、どうしたんすか?何してるんすか…」
「お前を探してたんだよ。寝ちまってて悪かったな」
風信は少し様子がおかしかった。緊張しているような、何か恐れているような感じがあった。
「そんな…休憩中にすんませんっした。邪魔しちゃったみたいで」
「で、なんだったんだ?」
「もう済んだんで大丈夫っす」
落ち込んでる感じがあった。背中を叩いてやる。なんだ?って顔されたけど、ちょっと元気出たげだった。
「あ、の…八重せんせ」
「あ?」
「いいえ!じゃあ、そろそろ部活行くっす!」
忙しいヤツが駆けっていくのを見届ける。アイツ等くらい素直で無邪気で明るくいられたら、あいつは笑いかけてくれんのかな。大した内容でもないこと、話してくれんのかな。…生徒と比べてどうする。いくらなんでも同い年のいい歳こいた男じゃな。職員室に戻れば咲に絡まれる。とっとと部活行け。風信は行ったぞ。咲は俺相手だと容赦ない。三十路の男とは思えないガキっぽさで、昔に還る。こういう時、俺たちは俺たち独特の世界を作っちまってるらしくて何度か咲の嫁さんからも指摘された。そこに深月が入れば、もう他の誰も入り込む余地はないというから周りの人間は大変だろう。咲の中では俺と深月がいればいつでもガキの頃に戻れるみたいだ。呑気だな。だからこそ抜くところで抜けるのかも知れない。下ネタじゃなくて。無自覚無意識に、不本意に自然に、時の流れのまま変わっていくことを恐れてるのは深月と俺だけなのかもな。やっぱり咲はすげぇよ。
「ヨシ知らねぇ?見当たらねんだけどよ」
タコみたいに俺に絡みつきながら咲が訊いてきた。
「見てねぇ。先にプール行ったんじゃね」
「今日部活ねぇけど」
「風信は部活あると思ってたみてぇだぞ」
俺のデスクの上に適当に置かれた菓子を咲はばくばく勝手に食っていた。女子生徒とか他の教師がくれた物だから別に構わないけどな。
「マジかよ。じゃあ教えに行かねぇと」
「散らかすな」
食べカスを指の腹で取りながら脇のゴミ箱に捨てる。几帳面だな!と笑われるが俺は自分が几帳面だと思ったことは一度たりともないし他に言われたこともない。咲が大雑把すぎる。咲からしたら乱雑大魔人の深月も几帳面の扱いになるだろう。性格的にもあいつとは、やっぱり合わない。咲は。甲斐甲斐しく世話焼きたいのは分かるが、神経質なあいつに咲が磨り減りそうだ。案外生々しい生活感から瓦解するんだろうな、多分。っつーかさ…咲は妻帯者だ。そもそもあいつとはくっつかない。何より咲は、あいつがどれだけ尽くして、あいつをどれだけ気に入ったって、妹を当てがおうとしてるところからみたらどうしたって咲はノンケだ。俺もノンケだよ、あいつが特別だっただけで。あいつはどうだか知らねぇが。
「お前も暇なら来いよ」
「女子の連れションか」
「飛広也も喜ぶぜ!」
ばんばんと俺の背中を叩く咲は元気そうだ。あいつにもこうやって接したのか?屈託もなく笑いかけたのか。あいつも馬鹿だな、他意のない咲の罪深ぇ態度に堕ちちまったんだ?誰にでもするぞ。俺や深月にだけじゃない。勘違いするなよ。目覚めろよ。叶わない恋ばっか追ってんなよ。へし折るしかない想いに縋りついてんなよ。
「1人で行けよ。ガキじゃねぇんだから」
口にしてから、咲はまったく気にしちゃいなかったが、そんなつもりのなかった余計な一言が自分に刺さって、嫌味っぽく聞こえた。
「つまんねぇの。んじゃ行ってくら。お前帰るだろ?じゃあな~」
「お、おお」
咲は風信を追って職員室を出て行った。颯爽とした感じは兄弟同然に育った男の俺からみてもかっこよく思えた。こういうところを見せられたら、堕ちるのかもな。つらくなるくせに。
-霖雨-
美仁先生の体温と匂いがすぐ近くにあって、息を焦って苦しくなった。身体が熱くなって、この熱は隠さなきゃいけないような気がした。
保健室に入ってすぐ、美仁先生は鍵を閉めてしまった。保健室の先生呼ぼうと思ってたのに。歩きづらそうにベッドに倒れたけど、上半身だけだった。
「美仁先生…?」
真っ赤な顔して、ずっとボクと一緒にいたのに、初めてボクの存在に気付いたみたいな反応で、驚いてた。
「このことは、秘密にしていただけますか」
「え…?」
ベッドに変な体勢で休んでいた先生はボクを手招きした。その誘いに乗って美仁先生に近付いたら、ボクの視界は横転した。
「内緒に、してください」
何の話だか分からなくて、天井を遮ってボクに跨った美仁先生を見上げた。美仁先生はちょっと痛そうなカオをして、ボクのちんちんを出した。パンツを下げられたせいで、ぶるんって跳ねた感触がなんだか面白かった。先生は小さなアルミの袋を口で開けて、ちんちんがなんか小さな輪に締め付けられる。
「背中のこと、先生と深月くんの2人だけの秘密に出来ますか?」
背中の綺麗な絵のこと?黙る。みんなが興味持っちゃったら、みんなが美仁先生のことを押し潰すの?みんなが?そしたら、みんなのちんちん食べるの?ボクだけのちんちんを食べてほしいのに?
「…風信くんは…?」
なんかピンクの膜みたいなのに覆われてるちんちんをいじられるとくすぐったくて強い息が出た。避妊具だ。保健体育の教科書にあった。美仁先生は目を細めた。知りませんよ、って言った。
「八重さんは…」
「知りません」
「秋桜先生も…?」
ちんちんがいっぱい触られて、くすぐったくて、痺れて、腰がびくびく動いちゃう。美仁先生は濡れた目を細めたまま、はい、ってくしゃくしゃした声で言った。
「本当に…ッボク、だけ…?」
腰が勝手に浮いちゃって、美仁先生は超能力者みたい。少し冷たい手の中にボクはちんちんを通したり抜いたりしちゃう。先生もボクのちんちんを磨いてる。骨が溶けて、腰がなくなっちゃいそうだった。ぶわぶわして、声が出そう。先生の手が止まる。やめてほしくない。もっとしてほしい。ボクを見つめる綺麗な目は優しいけど泣きそうだった。
「言わ…ない…ッ。ナイショに、しま…すっ、」
喉がカラカラで、掠れて、上擦って。何も考えられなくなりそうなのに、美仁先生に頭の中をこじ開けられるみたいな。
「あ、ぅっ」
びっくりして声が出ちゃった。腰が溶ける。ちんちんが壊れちゃう。美仁先生がもっと前屈みになってボクにもっと近付いた、ちんちんがキツい。ゴムの外からもっと締め付けられて、温かい。ぬるぬるちんちんが美仁先生の腹の中に入って、そこはちんちん挿れるところなの?ぬるぬるして、きゅうきゅうして、ぱちゅぱちゅ鳴った。先生の少し固いお尻がボクの脚に当たる。ボクの上で美仁先生は背筋を反らせてびくびくしてた。ぎゅっ、ぎゅってちんちんが奥に入っていっちゃう。ボクの腰がもうボクの身体じゃなくなって、小刻みに痙攣してるみたいな美仁先生にちんちんを刺したがった。口じゃないけどお尻でボクのちんちんを食べてる。出すところから食べさせてることにまた身体がカッとなって、ちんちんをもっとずこずこ刺した。美仁先生はあうあう唸って身体に電流通されたみたいに腕とか肩とか膝が波打った。ボクは背中をベッドに打ち付けて、美仁先生のお尻の穴にずぼずぼ固くなったちんちんを出し入れした。ボクのお腹に美仁先生のおちんちんの袋が当たって、少しこりこりしてる。美仁先生の綺麗なおちんちんを触りたくなってペタペタ遊んだら、綺麗だけど嗄れた声を出して、先生のおちんちんから、びゅって白いのが飛んだ。保健体育の教科書に載ってたやつ。でもなんで?今出す必要なくない?美仁先生、ボクに赤ちゃん産んでほしいの?ボク女の人じゃないから赤ちゃん産めないのに、びゅってする意味。どうしていいのか分からないからとりあえずぴゅっぴゅしてる先生のおちんちんをまたべたべた触った。練乳みたいで美味しそうだったから舐めたけど甘くなかった。先生のお尻の穴がくぱくぱして先生はうんうん鳴いた。
「あ、…っは、ぁんっあっあっあっ!激し…」
「よしたかせ、んせ…」
ボクも漏れそうだった。ダメだと思ってるのに、どこかでこのままこの前みたいに、今度は先生のお尻の中にお漏らししたくて。だって止められない。普通のおしっこじゃないおしっこが漏れそう。美仁先生のこと考え過ぎると催しちゃうんだから仕方がない。ゲイポルノ雑誌でみた写真を美仁先生と重ねるとなんか粘ついた尿意が我慢出来なくって、パンツが白くネバネバしちゃう。
「だ、め…触らな、ぁ、あンっ!」
ボクのこと女の子だと思ってびゅってしちゃったみたいな先生のおちんちんが汚れてるから指で落としてたら、先生はボクの手をおちんちんから剥がそうとした。先生の綺麗なおちんちんもうちょっと触ってたかったけど、ボクもおしっこ我慢できなくなって、腰が爆発するみたいだった。先生のお尻から出入りしてるボクのちんちんと薄いゴム素材は白く泡立ってて、だらだらとさらさらした米の研ぎ汁みたいなのが流れ出ててびっくりしちゃった。そういえば美仁先生、さっきお尻の中に他の人から白いおしっこされちゃってたんだっけ。
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