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綿貫碧(わたぬき あおい)2-11

***  綿貫はドアが開く音に、すぐに顔を上げてそちらを見た。  今日は「お勤め」の日だ。しかし、嫌では無かった。むしろ、少しだけ心を弾ませながら、この日を心待ちにしていた。 「あ……」  しかし、ドアを開けた男の顔を見た瞬間に、綿貫の気持ちは地に叩きつけられる。今日は、豚が来たのだ。  初めての「お勤め」日から三回連続で、三沢が予約してくれた。だから、今日もそうだろうと思ってしまっていた。馬鹿だ。期待はするだけ無駄だと知っているのに、三沢との居心地の良い時間に、自身の主義を忘れてしまっていたのだ。  本当に馬鹿だ。何が居心地の良い時間だ。三回ではないか。たった三回しか三沢と過ごしていない。しかし、その三回とも、三沢は綿貫を抱きしめながら寝てくれた。三沢の体温は、綿貫の体にねっとりと纏わり付いており、すでに剥がすことが出来ないでいた。 「で、電気、消す?」  豚が言う。また不細工な豚が来たものだと綿貫は思った。太っており、顔中に吹き出物がある。顔の造作の善し悪しは仕方が無いが、せめて清潔感が欲しい。しかしこの男には、清潔感というものが感じられなかった。 「別にどっちでも……」  ぶっきらぼうに綿貫が言うと、豚は電気を消さずに、ベッドに座っている綿貫の隣に座った。 「じゃ、じゃあ、このままがいいな。君、凄く可愛い」  シャンプーの匂いが漂った。風呂は入ってきたのかと安心をしながら、綿貫は服を脱いでベッドに横になった。  豚がキスをしようとしてくる。綿貫は自分の唇を手で覆って、それを阻止した。 「挿入以外はなし」  冷たく言い放つと、豚は一瞬不満そうな顔をした。 「嫌ならやめろよ」 「わかった」  豚がズボンの前をはだけさせると、薄汚いペニスを取り出して、コンドームを被せた。よくもまぁ、男相手に、しかもこんな態度の男相手に勃つものだと呆れながら、ローションを手に取る。 「ちょっと待って。慣らすから」  次回からは慣らして待っていないと駄目だな、と思いながら掌にローションを垂らし、尻に塗りたくった。  目を瞑って、後孔に指を入れる。乱暴に掻き混ぜながら、早く広がれと思ったが、久しぶりのせいか、そこは中々広がらなかった。 「綿貫君、可愛い顔して、こんなにエッチなんだ」  豚が息を荒くして言う。何言ってるんだと思ってその顔を見ると、顔が上気していた。 「我慢出来ないよ」  そう言って、豚は綿貫の体をうつ伏せると、綿貫のアナルに己のペニスを捻りこんできた。 「いっ!」     

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